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No121 エビスタ(ラロキシフェン)乳癌

 エビスタの冠動脈性心疾患を有する女性における研究/Cancer Consultants2006/7
● タモキシフェンとラロキシフェン臨床試験(STAR)の初期結果が発表:骨粗しょう症薬ラロキシフェンは、浸潤性乳癌の予防にタモキシフェンと同等に有効/NCI臨床試験結果2006/4
 エビスタ(塩酸ラロキシフェン)の子宮内膜癌予防に役立つ可能性/WebMD2005/5 


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NCI臨床試験結果[最新ログ検索ラロキシフェン



原文
エビスタの冠動脈性心疾患を有する女性における研究

Cancer Consultants 2006/7

RUTH(The Raloxifene Use for The Heart)試験に関係する研究者らは、エビスタ(ラロキシフェン)が冠動脈性疾患(CHD)を有する女性の乳癌のリスクを減少させるが、致死的脳出血のリスクは上昇させることを報告した。この大規模な多施設ランダム化比較対照試験の詳細は2006年7月13日発行のThe New England Journal of Medicineで報告された。
エビスタは選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)で、SERMによる閉経後女性の骨粗鬆症の治療が米国食品医薬品局により認可されている。MORE(The Multiple Outcomes of Raloxifene Evaluation)試験と呼ばれるエビスタの閉経後女性における骨粗鬆症治療の研究は、プラセボに比べ4年間のエビスタによる治療は骨粗鬆症を閉経後女性の浸潤性乳癌を72%減少させたという二次結果を示した。米国と英国の研究者らもまた骨粗鬆症を患う閉経後女性の間でエビスタが浸潤性乳癌の発生を66%減少させたと報告した。
現在の試験は1998年に始まり、エビスタがCHDを有する女性に有益な効果をもたらすかどうかを定めることを目的としていたが、研究が始まった後、乳癌の予防が二次的課題となった。この研究はCHDと診断された女性、またはCHDを発症する危険因子を有する女性10,000人以上を含み、患者はエビスタまたはプラセボを5年間服用するよう無作為に分けられた。平均観察期間は5.6年だった。以下の観察が報告された。

  1. エビスタグループとコントロールグループ間にCHDによる死亡、非致命的心筋梗塞、または急性冠症候群による入院の割合における有意差はみられなかった。
  2. 乳癌はエビスタで治療を受けた女性の間で44%減少した。
  3. 致命的脳出血の発生がエビスタグループで49%増加した。
  4. 血栓塞栓性事象の発生がエビスタグループで44%増加した。
  5. 椎骨骨折がエビスタグループで33%減少した。
  6. これらの観察結果はCHDと診断された女性とCHDの危険因子を有する女性の間に違いはなかった。

著者らはエビスタがCHDを有する女性の心臓疾患は防がなかったが、乳癌の発症率を減少させたと結論付けた。しかし、エビスタは副作用を増加させ、顕著な延命効果はもたらさなかった。

コメント:エビスタは乳癌のリスクが高く、CHDに罹患していない女性の癌予防としてやはり妥当な選択かもしれない。この研究はCHDまたはCHDの危険因子を有する女性を対象に行われ、乳癌のリスクの高い女性を対象に患者を選ぶことによって異なる結果をもたらしたかもしれない。しかし、乳癌とCHDのリスクの高い女性は癌予防としてエビスタを服用する際、脳出血の危険性の増加について注意を受けるべきである。

(ラスコ 訳・Maniwa Ph.D. 訳)

 
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NCIインフォ 臨床試験結果より 

原文
タモキシフェンとラロキシフェン臨床試験(STAR)の初期結果が発表:骨粗しょう症薬ラロキシフェンは、浸潤性乳癌の予防にタモキシフェンと同等に有効


(Posted: 04/17/2006)

タモキシフェンとラロキシフェン臨床試験STARの初期結果で、現在閉経後女性の骨粗しょう症予防薬として用いられているラロキシフェンは、タモキシフェンと同等にこの疾患のリスクノ高い閉経後女性浸潤性において乳癌リスクを減少させる。Questions and Answers


タモキシフェンおよびラロキシフェンの臨床試験すなわちSTARの初期段階の結果から、現在閉経後の女性の骨粗しょう症の予防および治療用に使用されている薬剤ラロキシフェンが、乳癌のリスクが高い閉経後の女性の乳癌のリスクを低減させるタモキシフェンと同程度の効果があることが確認されました。STARでは、ラロキシフェンおよびタモキシフェンはともに浸潤性乳癌が発症するリスクを約50%低減させました。さらに、本臨床試験で、前向き、無作為にラロキシフェンを毎日服用する群に割り当てられ、平均約4年間追跡調査を受けた女性は、タモキシフェンを服用する群に割り当てられた女性よりも、子宮癌が発症する割合が36%低く、血栓ができる割合が29%低いことが分かりました。子宮癌、特に子宮内膜癌の発症はまれではあるが、タモキシフェンによる重篤な副作用です。タモキシフェンおよびラロキシフェンはともに女性の血栓のリスクを増大させることで知られています。

STARは、実施された試験の中で最も大規模な乳癌予防の臨床試験のひとつで、乳癌のリスクの高い閉経後の女性19,747例が登録されました。参加者は、毎日5年間、ラロキシフェン(EvistaR)を60mg、タモキシフェン(NolvadexR)20mgのいずれかを服用する群に無作為に割り当てられました。この臨床試験は、癌研究の専門家ネットワークであるNational Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project (NSABP)が調整役を努め、国立衛生研究所の一部である米国立癌研究所が資金を提供しています。

「STARから得たこのようなの楽観的な報告は乳癌予防に大きな前進となります。」と現在NCIで陣頭指揮を取っているJohn E. Niederhuber医師は語りました。「これらの結果は、私たちがエビデンスに基づいた治療を確立するために臨床試験が非常に重要であることを再度証明しています。」

「1998年の画期的な乳癌予防の臨床試験では、タモキシフェンが閉経前および閉経後の女性の浸潤性乳癌のリスクを50%近く低減させる可能性があることが確認された。」とNSABPの責任者であるNorman Wolmark医師は語りました。「現在、ラロキシフェンは乳癌のリスクが高い閉経後の女性にはタモキシフェンと同じくらい効果的で、タモキシフェンで発症することが知られている重篤な副作用もラロキシフェンでは発症しないということが言えます。」

脳梗塞、心臓発作および骨折が起きた女性の人数は、いずれの薬剤の場合も同等でした。ラロキシフェン、タモキシフェンは共に骨の健康を守ることが知られており、閉経後の女性50万人が現在、骨粗しょう症の予防および治療のために処方によるラロキシフェンを服用していると推定されています。加えて、STARの初期段階の結果は、ラロキシフェンがタモシキフェンほどは、白内障の発症するリスクを増大させないと示唆しています。

「副作用のない薬剤はないが、タモキシフェンおよびラロキシフェンは乳癌のリスクが高いため対策を取りたいと思っている女性にとって極めて重大な選択肢です。」とNCIのDivision of Cancer Prevention(癌予防部門)の臨床研究担当副部長のLeslie Ford医師は語りました。「多くの女性にとって、ラロキシフェンの有効性は、リスクに勝りますが、タモキシフェンの有効性はリスクを上回らないと考えられるでしょう。」

STARの医師たちはまた、両方の薬剤で発症することが分かっている更年期副作用を追跡し、参加者の生活の質を観察しました。データは、両方の薬剤の副作用の重篤度が軽度から中等度であり、生活の質は両方とも同程度であること示しています。

STARの参加者は、今では、どちらの薬剤を服用していたかという情報を得ています。ラロキシフェン群の女性は、5年間の治療が終了するまで薬剤の提供が続きます。タモキシフェン群の女性は、タモキシフェンの服用を継続するか、ラロキシフェンを服用して5年間の治療を終了するかを選択できます。

臨床試験の詳細は以下のとおりです。

STARでは、19,747例の女性が登録されました。データの分析は、臨床試験情報一式が有効な女性19,471例をもとに行われました。

両群の女性の浸潤性乳癌の数は有意に同等でした。

浸潤性乳癌は、タモキシフェン群が9,726例中163例だったのに対し、ラロキシフェン群は9,745例中167例に発症しました。

STARに参加した女性の半数以上は、子宮を切除していたため子宮癌のリスクがありませんでした。子宮のある女性については、ラロキシフェン群の女性が4,712例中23例であったのに対し、タモキシフェン群では4,732例中36例に子宮癌(主に子宮膜癌)が発症しました。

STARでは、ラロキシフェン群の女性は、タモキシフェン群よりも深部静脈血栓(静脈内の血栓)および肺動脈塞栓(肺の血栓)の発生する割合が29%低いことが確認されました。具体的には、ラロキシフェン群の女性が9,745例中65例であったのに対し、タモキシフェン群の女性9,726例中87例に肺動脈塞栓が発生しました。また、ラロキシフェン群の女性が9,745例中35例であったのに対し、タモキシフェン群は9,726例中54例に肺動脈塞栓が発生しました。

両群の女性に発症する脳梗塞の数は統計上同等でした。タモキシフェン群の女性9,726例中53例、ラロキシフェン群の女性が9,745例中51例に臨床試験中に脳梗塞が発症しました。脳梗塞による死亡率に差異はありませんでした。タモキシフェン群の女性9,726例中6例、ラロキシフェン群の女性9,745例中4例が脳梗塞で死亡しました。脳梗塞のリスクの高い女性(管理不良高血圧または管理不良糖尿病、脳梗塞の病歴、一過性脳虚血発作または心房細動を持つ人)は、STARへの参加資格はありませんでした。

タモキシフェンが上皮内小葉癌(LCIS)および非浸潤性乳管癌(DCIS)の発症を半分に低減させたことが確認されましたが、ラロキシフェンはこのような診断に効果がありませんでした。(LCISおよびDCISは非浸潤性乳癌と呼ばれることもあります。)ラロキシフェン群が9745例中81例であったのに対して、タモキシフェンを服用した女性の9,726例中57例がLCISまたはDCISを発症しました。この結果は、2004年に報告されたラロキシフェンの大規模試験すなわちContinued Outcomes Relevant to Evista (CORE試験)のデータを裏付けています。

STARに参加した女性は35歳以上の閉経後の女性で、年齢、家族の乳癌歴、既往歴、初潮を迎えた年齢、および初産年齢をもとにして割り出した乳癌のリスクが高い人たちでした。本臨床試験に参加する前に、女性たちはタモキシフェンおよびラロキシフェンの潜在的リスクおよび効果について指導を受け、同意書に署名をするよう求められました。

STARの研究者たちは、ジョージア州アトランタで2006年6月2〜6日に開催される第24回米国臨床腫瘍学会(ASCO)総会で追加データを提示します。「これは重要かつ待ち望んでいた臨床試験です。」とASCO会長のSandra J. Horning医師は語りました。「また私たちは、この2つの治療法により実際に認められた毒性の差異および非浸潤性乳癌の予防に関してASCOの総会でさらなる議論と分析をすることを楽しみにしています。」また、論文審査のある学術専門誌に発表するため、原稿が提出されています。

タモキシフェンのメーカー、AstraZeneca Pharmaceuticals社(デラウェア州ウィルミントン)およびラロキシフェンのメーカー、Eli Lilly and Company社(インディアナ州インディアナポリス)は、本臨床試験のために同社の薬剤および同等のプラセボを参加者に無料で提供しました。Eli Lilly and Company社はまた、試験参加施設での募集費用を負担し、地方の研究者たちが臨床試験を実施できるようするなどNSABPを支援しました。

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メディアマテリアルおよびファクトシートへのリンクを含むSTARの詳細ついては、NCIのSTARのホームページ(http://www.cancer.gov/sta)またはNSABPのウェブサイト(http://www.nsabp.pitt.edまたは http://foundation.nsabp.or)をご覧ください。
STARの結果に関するQ&Aについては、http://www.cancer.gov/newscenter/pressreleases/STARresultsQandをご覧ください。
STARの結果に関するBロールは、www.thenewsmarket.comで電子版をダウンロードするか、NCI Media Relations Branch(301- 496-6641)に電話してベータテープのコピーをお求めください。
女性の乳癌のリスク計算に使用したするツールについては、http://cancer.gov/bcrisktooまたはhttp://breastcancerprevention.coをご覧ください。

(ポメラニアン 訳、Dr.Saru 監修)

 


 

原文

エビスタ(塩酸ラロキシフェン)の子宮内膜癌予防に役立つ可能性

WebMD  2005/5

2005年5月16日(フロリダ州、オーランド)― 研究者らは、骨粗鬆症の治療薬が子宮内膜癌の発症を防ぐかもしれないと述べている。

エビスタを服用した女性は「エビスタを服用していない女性に比べて子宮内膜癌にかかるリスクは約半分である。」と、フィラデルフィアのペンシルバニア大学にあるAbramson癌センターの医学部助教授であるAngela DeMichele医師は語る。

エビスタは選択的エストロゲン受容体調整薬(SERM)として知られる薬剤である。エビスタは骨に対しては正のエストロゲン様作用があり、骨がもろくなる病気である骨粗鬆症に効果がある。

しかし、エビスタはまた乳房組織に対するエストロゲン効果をさえぎる。ある乳癌細胞はエストロゲンに反応して成長する。SERMは乳房細胞内のエストロゲン受容体を阻害することによって乳癌の危険性を減少させる。

Demichele医師の研究によれば、エビスタは乳癌を防ぐ効果に加えて、子宮内膜癌を防ぐ効果もあることが示されている。子宮内膜癌は子宮内膜にできる癌のことである。

エビスタは癌の危険性を下げる

癌にかかるリスクの高い女性のために、タモキシフェンは乳癌の予防のために承認された最初で唯一の薬剤である。しかし、タモキシフェンは子宮内膜癌の危険性を高める性質を兼ね備えている。

そこで、医師たちは骨を強くする薬剤であるエビスタを含む乳癌予防の代替薬を求めつづけてきた。新しい研究によればエビスタは子宮内膜癌を防ぐこともできるとしている。

DeMichele医師の研究において、エビスタを服用した女性はエビスタを一度も服用しなかった女性に比べて子宮内膜癌と診断される可能性は50%以下であるとしている。

全体として、「タモキシフェンの服用者はエビスタ服用者に比べて三倍近く子宮内膜癌を発症しやすい」とDeMichele医師は言う。そして、タモキシフェンを服用した女性は、服用しなかった女性に比べて50%子宮内膜癌を起こしやすいと語っている。

この研究は、米国臨床腫瘍学会の定例年次総会で発表されたものである。

現在進行中の臨床試験が、エビスタの新しい可能性を開くことができるかもしれない。

この研究は子宮内膜癌の女性547名と、1,412名の健康な女性を対象にしたものであった。

薬剤との関係を偶然見つけた時、実のところ研究者は、子宮内膜癌と関連のある遺伝的危険因子を調べていたのだった。

有望なデータにもかかわらず、Demichele医師は、エビスタは骨粗鬆症の予防および治療のみに承認されていると強調している。

しかし、専門家は二種類の薬剤の乳癌の予防力を比較するSTARとして知られる米国国立癌研究所による大規模な臨床試験の完了後、変更される可能性があると語っている。

もし、エビスタが、「乳癌のリスクを軽減するタモキシフェン以上の、あるいはタモキシフェンと同等の効果があることさえ示されれば、エビスタは化学的予防を受けている女性の優れた選択肢の一つとなることが判明するだろう。」と、ボストンにあるDana‐Farber 癌研究所のCenter for Gastrointestinal Oncology の所長で、この研究の記者会見の司会者でもあるRobert Mayer氏は言う。

「もし我々が、乳癌のリスクを軽減し、子宮内膜に害を与えない薬剤を手に入れることができたとしたら大きなプラスとなるだろう。つまり、一つの薬剤の値段で二つのメリットが得られる。乳癌の予防をしながら、骨粗鬆症も減少させることができるのである。」とRobert Mayer氏は、WebMDに語った。

STARの調査結果は2006年には得られると予測されている。この研究は、乳癌にかかるリスクの高い閉経後の女性19,000名以上を対象としており、エビスタがタモキシフェンと同等の乳癌にかかる機会を減少させる効果があるかどうかを検証している。

米国癌協会は、国内の40.000名以上の女性が2005年には子宮内膜癌と診断され、7.300名以上が死亡すると予想している。

エビスタは、WebMD社のスポンサーであるイーライリリー・アンド・カンパニーで製造されている。
SOURCES: 41st Annual Meeting of the American Society of Clinical Oncology, Orlando, Fla., May 13-17, 2005. Angela DeMichele, MD, associate professor of medicine, AbramsonCancerCenter, University of Pennsylvania, Philadelphia. Robert J. Mayer, MD, director, Center for Gastrointestinal Oncology, Dana-Farber Cancer Institute, Boston  



(Sugiura 訳・Dr.くま 監修)


参考:ASCO Abstract
NCI癌予防乳癌Cancer Facts

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