カペシタビン+オキサリプラチンおよび放射線療法を併用した術前補助療法が局所進行性直腸癌に高い有効性を示した

キャンサーコンサルタンツ
2009年5月

ゼローダ®(カペシタビン)+エロキサチン®(オキサリプラチン)および放射線療法を併用した術前補助療法が、ステージ2または3の直腸癌患者に高い割合で完全奏効またはそれに近い奏効をもたらすことが、イタリアで報告された。本試験の詳細は、「Annals of Oncology」誌2009年5月1日号に掲載された[1]。

局所性進行直腸癌の患者には、外科手術が標準治療である。また、放射線療法や化学療法、あるいはこの併用による術後補助療法で、生存率および局所制御率が改善するというエビデンスも得られている。さらに最近では、術後補助療法よりも、術前の集学的治療の有効性が高いことが、第2相および第3相臨床試験により示されている。

本第2相臨床試験の対象となった46人は、術前に化学放射線療法を受けたステージ2または3の直腸癌患者であった。このうち21%に病理学的完全奏効、44%に完全奏効に近い効果が得られた。9人(20%)に再発が認められた。このうち1人に局所再発、8人に局所再発の有無にかかわらず遠隔転移が確認された。本レジメンの主な毒性は消化管毒性であり、まれに血液毒性がみられた。著者らは、ステージ2または3の直腸癌に対する術前補助療法として、本レジメンが他のレジメンより有効であることを示唆している。

コメント:以前に実施されたSwiss試験で、カペシタビン+オキサリプラチンと放射線療法を併用した類似のレジメンが、T3またはT4の直腸癌患者に今回と同程度の効果をもたらすことが示されている。このことから、本レジメンは、忍容性が高く有効な術前補助療法のレジメンであると考えられる。

参考文献:
[1] Carlomagno C, Farella A, Bucci L, et al. Neo-adjuvant treatment of rectal cancer with capecitabine and oxaliplatin in combination with radiotherapy: a phase II study. Annals of Oncology 2009;20:906-912.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 波多野 淳子

監修 榎 真由

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

大腸がんに関連する記事

TP53変異陽性がんにトリフルリジン・チピラシルとタラゾパリブの併用は有望の画像

TP53変異陽性がんにトリフルリジン・チピラシルとタラゾパリブの併用は有望

研究者らは、TP53遺伝子に変異があるがん細胞を選択的に殺す薬剤組み合わせを特定した。その遺伝子変異は、大半の大腸がんや膵臓がんなど、あらゆるがん種の半数以上にみられる。

NCIが一部資...
大腸がんの増殖にFusobacterium nucleatum亜型が最大50%関連の画像

大腸がんの増殖にFusobacterium nucleatum亜型が最大50%関連

フレッドハッチンソンがん研究センターNature誌に発表された研究によると、Fusobacterium nucleatumの亜型がヒトの大腸がん増殖の根底にあり、スクリーニングや治療に...
大腸がんに術後化学療法が必要かをctDNA検査で予測できる可能性の画像

大腸がんに術後化学療法が必要かをctDNA検査で予測できる可能性

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ転移が始まった大腸がんに対する手術の後、多くの人はそのまま化学療法を受ける。この術後(アジュバント)治療の背景にある考え方は、がんが体内の他...
認識されていない大腸がんの危険因子:アルコール、高脂肪加工食品、運動不足の画像

認識されていない大腸がんの危険因子:アルコール、高脂肪加工食品、運動不足

オハイオ州立大学総合がんセンター仕事中にあまり身体を動かさず肥満率が上昇している現代アメリカでは、何を飲食し、どのくらい身体を動かすかによって大腸がん(30〜50代の罹患者が増...