FDAが小児・青年期患者のリンパ腫・白血病にリツキシマブ併用化学療法を承認

2021年12月2日、米国食品医薬品局(FDA)は、未治療、進行期、CD20陽性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、バーキットリンパ腫(BL)、バーキット様リンパ腫(BLL)、成熟B細胞性急性白血病(B-AL)の小児および青年期の患者(生後6カ月以上、18歳未満)を対象としたリツキシマブ(販売名:リツキサン、Genentech,Inc.社)の化学療法との併用を承認した。

有効性は、未治療、進行期、CD20陽性のDLBCL/BL/BLL/B-AL患者(生後6カ月以上)を対象とした、国際多施設共同、非盲検、無作為化(1:1)試験であるInter-B-NHL Ritux 2010(NCT01516580)によって評価された。進行期は、ラクトースデヒドロゲナーゼ(LDH)値の上昇を伴うIII期(LDHが施設の正常上限値の2倍以上)、またはIV期のB細胞性非ホジキンリンパ腫もしくはB-ALと定義された。患者は、Lymphome Malin B(LMB)化学療法[コルチコステロイド、ビンクリスチン、シクロホスファミド、高用量メトトレキサート、シタラビン、ドキソルビシン、エトポシド、3剤(メトトレキサート/シタラビン/コルチコステロイド)の髄腔内投与]単独群、またはLMB化学療法と米国または米国外で既承認のリツキシマブとの併用群に無作為に割り付けられた。リツキシマブは用量375mg/m2を6回(2コースの導入療法で各2回、2コースの強化療法で各1回)、LMBスキームにより静脈内へ投与した。

有効性の主要評価項目は無イベント生存期間(EFS)であり、進行性疾患、再発、二次性悪性腫瘍、全死因死亡、または2回目のCYVE[シタラビン(販売名:Aracytine、Ara-C)、エトポシド(販売名:Veposide、VP16)]コースの終了後に残存病変に生細胞が検出されることで明らかになる非奏効のいずれかが最初に認められるまでの期間と定義された。追跡期間の中央値3.1年で、無作為化された患者328人を対象に、事前に規定された有効性中間解析を情報分数53%で実施した。EFSイベントは、LMB化学療法群で28例、リツキシマブ+LMB化学療法群で10例認められた(ハザード比[HR]0.32、90%信頼区間[CI]:0.17~0.58、p=0.0012)。中間解析時点では、死亡例数はLMB化学療法群で20例、リツキシマブ+LMB化学療法群で8例認められ、推定全生存期間のHRは0.36(95%CI:0.16~0.81)であった。全生存期間(OS)については正式な統計学的検定を実施しておらず、OSの結果は記述的とされている。中間解析後に無作為化を中止し、追加の122人はリツキシマブ+LMB化学療法を受けて安全性解析に寄与した。

リツキシマブ+化学療法を受けた小児および青年期の患者に認められた有害事象(グレード3以上、15%超)は、発熱性好中球減少症、口内炎、腸炎、敗血症、アラニン・アミノトランスフェラーゼの上昇、低カリウム血症であった。LMB化学療法群よりもリツキシマブ+LMB化学療法群で発生頻度が高かったグレード3以上の有害事象は、敗血症、口内炎、腸炎であった。致死的な有害事象は、両群とも2%未満の患者に認められた。

リツキシマブの推奨用量は375mg/m2であり、LMB全身化学療法との併用で静脈内に投与する。投与は計6回で、導入療法のCOPDAM1[シクロホスファミド、ビンクリスチン(販売名:オンコビン)、プレドニゾロン、ドキソルビシン(慣用名:アドリアマイシン)、メトトレキサート]コースおよびCOPDAM2コースで各2回、強化療法のCYM[シタラビン(販売名:Aracytine、Ara-C)、メトトレキサート]コースおよびCYVEコースで各1回である。

リツキサンの全処方情報はこちらを参照。

(日本語の添付文書はこちらを参照。)

翻訳担当者 松谷香織

監修 佐々木裕哉(白血病/MDアンダーソンがんセンター)

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