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FDAが再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫にlisocabtagene maraleucelを承認

速報

2021年2月5日

米国食品医薬品局(FDA)は、2種類以上の全身治療を受けたが効果を得られないか再発がみられる大細胞型B細胞リンパ腫の成人患者に対して細胞をベースとした遺伝子治療薬、lisocabtagene maraleucel(liso-cel)(販売名:Breyanzi[ブレヤンジ])を承認した。キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法薬、lisocabtagene maraleucelは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を含む、特定のタイプの非ホジキンリンパ腫に対してFDAが承認した3番目の遺伝子治療法である。本製品は、原発性中枢神経系リンパ腫治療への適応はない。

「今回の承認は、血液、骨髄、リンパ節に影響を及ぼす特定のがんを有する成人患者に新たな治療選択肢を提供し、急速に進展する遺伝子治療分野において重要な出来事となりました。遺伝子治療や細胞治療は有望な治療概念から、実用的ながん治療レジメンへと発展しています」とFDAの生物製剤評価研究センター(Center for Biologics Evaluation and Research)の責任者、Peter Marks 医学博士は述べている。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は成人の非ホジキンリンパ腫の中で、最も一般的なタイプである。非ホジキンリンパ腫は、免疫系の特定の細胞から発生するがんで、成長が早い(悪性度の高い)ものと遅いものがある。米国では毎年約77,000人が新たに非ホジキンリンパ腫と診断されており、DLBCLは新たに診断された患者の約3人に1人の割合を占めている。

Lisocabtagene maraleucelは、患者自身のT細胞(白血球の一種)をリンパ腫を攻撃するように至適化した治療法である。患者のT細胞を採取し、リンパ腫細胞を標的にして消滅できるよう新しい遺伝子を組み込み、患者に再び注入する。

Lisocabtagene maraleucelの安全性と有効性は、難治性または再発の大細胞型B細胞リンパ腫成人患者250人以上を対象とした多施設臨床試験で確立された。本剤で治療後の奏効率は54%であった。

Lisocabtagene maraleucelによる治療は、重篤な副作用を引き起こす可能性がある。CAR T細胞の活性化と増殖に伴う全身反応として、高熱やインフルエンザ様症状、神経毒性を引き起こすサイトカイン放出症候群(CRS)に関する枠組み警告が添付文書に記載されている。CRSと神経学的事象は共に、生命を脅かす可能性がある。その他の副作用として、過敏症反応、重篤な感染症、血球数の低下、免疫系の低下などがある。副作用は通常、治療後1~2週間以内に現れるが、遠隔期に現れる副作用もある。

サイトカイン放出症候群(CRS)や神経毒性のリスクがあるため、lisocabtagene maraleucelは、安全な使用を保証する要素(ETASU)を含めたリスク評価・緩和戦略(REMS)によって承認されている。

FDAは、本剤を販売する医療施設に特別な認証を求めている。その一環として、本剤の処方、調剤、投与に携わるスタッフは、サイトカイン放出症候群(CRS)や神経毒性のリスクを認識し、管理するためにトレーニングを受けることが求められる。リスク評価・緩和戦略(REMS)プログラムでは、点滴投与後のCRSや神経毒性の徴候と症状について患者に情報提供すること、さらにlisocabtagene maraleucel投与後に発熱やその他の有害反応が発現した時には、速やかに治療施設に戻ることが重要であることを患者に伝えるよう定めている。

長期的安全性をさらに評価するため、FDAはlisocabtagene maraleucelを投与した患者を対象に製造販売後観察研究を実施するよう製造業者に求めている。

FDAは、lisocabtagene maraleucelをオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)再生医療先進治療薬(RMAT)および画期的治療薬の指定した。RMAT指定プログラムは、21世紀医療法に基づき、重篤な疾患を対象とした再生医療治療法の迅速な開発を促進するため、創設された。

Lisocabtagene maraleucelは、FDAから再生医療先進治療薬(RMAT)指定を受けた最初の再生医療治療薬となる。

希少疾病用医薬品の指定は、希少疾病用医薬品の開発を支援・奨励するインセンティブである。Lisocabtagene maraleucelの申請は、バイオ医薬品評価研究センターとFDAの Oncology Center of Excellenceが、組織横断的なアプローチを用いて審査した。

FDAは、Bristol-Myers Squibb Company社の子会社、Juno Therapeutics Inc.社にBreyanziの承認を与えた。

翻訳大倉綾子

監修東 光久(総合診療、腫瘍内科、緩和ケア/福島県立医科大学白河総合診療アカデミー)

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