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ブリナツモマブが再発白血病小児の転帰を改善

  • 2020年1月8日
  • 発信元:米国国立がん研究所(NCI)ブログ~がん研究の動向~

NCIプレスリリース

臨床試験による新たな結果から、再発した高または中間リスクのB細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)小児・若年成人患者に対する免疫療法薬ブリナツモマブによる治療が、標準的化学療法よりも効果があることが示された。ブリナツモマブ投与患者は、全生存率が上昇し、重度の副作用が減り、残存病変が検出されなくなる頻度が上昇し、かつ、造血幹細胞移植を受けられる可能性が高くなった。

「本研究から、ブリナツモマブによる免疫療法は、高悪性度の再発B-ALL小児・若年成人患者に対する根治的造血幹細胞移植への橋渡しとして、化学療法と比較して効果が高く、毒性が低いことが示されます。こうした患者の生存率は数十年間にわたってほとんど上昇していませんが、彼らは現在新規のより有効な標準治療を受けていることに心躍ります」と本臨床試験を主導したジョンズホプキンス大学キンメルがんセンター(ボルティモア市)小児白血病プログラム長のPatrick Brown医師は述べた。

本臨床試験の結果は2019年12月10日、米国血液学会(ASH)年次総会での最新要旨として発表された。本臨床試験を小児腫瘍学グループ(the Children’s Oncology Group:COG、米国国立がん研究所(NCI)主導の全国臨床試験ネットワークの一部門)が主導した。NCIは米国国立衛生研究所における研究機関の1つである。アムジェン社はNCIとの共同研究開発契約に基づき、臨床試験実施計画書・修正報告書を再検討し、治験薬ブリナツモマブを提供した。

「本臨床試験の結果はこうした再発B-ALL小児・若年成人患者の治療に直ちに影響を及ぼすことになりそうです。また、米国連邦政府資金による臨床試験が小児がん患者に対するさらに効果的な治療法の開発において果たす重要な役割も強めます」と本臨床試験を主導したNCIがん治療評価プログラム小児腫瘍学副部門長のMalcolm Smith医学博士は述べた。

B-ALL小児患者で初期治療後にそれが再発すると、通常化学療法が実施される。最初の4~6週間にわたる化学療法(再寛解導入療法)の後に通常、病変レベルをさらに低下させるために、追加の強化療法(地固め療法)が続く。この次に、初期治療中または初期治療終了直後に再発が認められたかどうかなどの要因に基づいて、造血幹細胞移植が患者の約半数に対して最適な治療法とされる。

とはいえ、化学療法は一部の患者に重度の副作用をもたらす可能性があり、時に白血病細胞数を移植に先だって必要な程度に著しく減少させる際に、有効ではないことがある。その結果、患者は移植を受けることができなかったり、移植が遅れたりすることがあり、これによりB-ALLの再発リスクが増大する。

本臨床試験はブリナツモマブを再寛解導入療法に続く地固め療法の代替薬として研究した。ブリナツモマブは免疫療法薬の一種で、2つの異なる分子であるCD19(タンパク質、抗原、B-ALL細胞表面で発現する)とCD3(抗原、T細胞表面で発現する)に結合して作用する。ブリナツモマブはT細胞をB-ALL細胞に接近させることで、T細胞がB-ALL細胞 を認識・殺傷するよう促す。

ブリナツモマブは米国食品医薬品局(FDA)により、B-ALLが再発または治療に反応しなかった成人・小児患者に対して、承認されている。完全寛解を達成しているが、未だに極めて高感度な方法により検出可能なB-ALLがわずかに認められる、治療中のB-ALL成人・小児患者の一部に対して、FDAはこの薬剤の迅速承認(確認試験により、この薬剤に臨床的利益が認められることが示される必要があることを意味する)も行っている。

本臨床試験の研究者らは、ブリナツモマブが地固め療法を受けている小児・若年成人患者で、無病生存率を上昇させ、強化療法と比較して低毒性かどうかを確認したいと考えた。

本臨床試験の報告は、再寛解導入療法歴があり、高または中間リスク患者とされる1~30歳の小児・若年成人の再発B-ALL患者208人から得られた結果に基づくものである。参加患者は造血幹細胞移植を受ける前に、強化療法を2回受ける群(以下強化療法群)とブリナツモマブの4週間持続投与を2回受ける群(以下ブリナツモマブ群)にランダムに割り付けられた。(本臨床試験の別部門が低リスク小児患者に対処した。)

追跡調査期間中央値1.4年後、ブリナツモマブ群は強化療法群と比較して2年無病生存率(本臨床試験の主要評価項目)が高かった(59.3±5.4%対41±6.2%)。また、ブリナツモマブ群は、全生存率が高く(79.4±4.5%対59.2±6%)、重度の副作用が少なく、残存病変が検出できなくなる頻度が上昇し(79%対21%)、かつ、造血幹細胞移植を受けられる可能性が高くなった(73%対45%)。

計画された中間解析で、独立データ安全性監視委員会は、ブリナツモマブ群小児患者の転帰が強化療法群小児患者の転帰と比較して良好であると結論付け、本臨床試験への高・中間リスク患者の登録を中止するよう勧告した。

将来の臨床試験では、再発B-ALLにおけるブリナツモマブの効果が他の免疫療法薬との併用により高まるかどうかが検討される。また、新規診断B-ALL小児・若年成人患者に対するブリナツモマブの標準的化学療法への追加が有益かどうかも検討される。

翻訳渡邊 岳

監修喜安純一(血液内科・血液病理/飯塚病院 血液内科)

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