[ 記事 ]

オシメルチニブがEGFR陽性の進行肺がんの生存を延長

EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)において、オシメルチニブ(販売名:タグリッソ)が、対照薬のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬より生存期間を延長

未治療の局所進行または転移EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者のうち、オシメルチニブ治療を受けた患者の方が、対照治療薬のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)治療を受けた患者よりも生存期間が長かった。このFLAURA試験の結果を、エモリー大学医学部ウインシップがん研究所(米国アトランタ)のSuresh S. Ramalingam教授を代表著者とする研究者らが、2019年11月21日付New England Journal of Medicine (NEJM)誌で報告した。オシメルチニブの安全性プロファイルは、オシメルチニブ群の方が曝露期間が長かったにも関わらず、対照薬のEGFR阻害薬と類似していた。

この試験結果のNew England Journal of Medicine誌への掲載は、シンガポールで開催されたESMOアジアで延世大学医学部・延世がんセンター(ソウル、韓国)のByoung Chul Cho教授が発表したのと同時だった。当演題LBA16は、胸部腫瘍に関する口演セッションで発表された。

オシメルチニブは、第3世代の不可逆的な経口EGFR阻害薬で、選択的にEGFR阻害薬感受性の変異、およびEGFR T790M耐性変異の両方を阻害し、中枢神経系(CNS)転移が認められる非小細胞肺がん患者に有効性を示してきた。

FLAURA試験は、未治療のEGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん患者を対象とし、オシメルチニブの有効性と安全性を他の2つのEGFR阻害薬であるゲフィチニブまたはエルロチニブ(ゲフィチニブおよびエルロチニブの両薬は対照群に含まれた)と比較検討した二重盲検第3相試験である。

初回解析は2017年6月12日のカットオフデータを用いて実施され、無増悪生存期間(PFS)は、オシメルチニブ群、対照群でそれぞれ、18.9カ月、10.2カ月(病勢進行または死亡に対するハザード比、0.46;p<0.001)であり、対照群と比較し、オシメルチニブ群において有意な無増悪生存期間の延長が認められた。

初回解析時において、生存期間のデータは未達(データ成熟度25%)であったが、オシメルチニブ群において生存期間の延長傾向が認められた(死亡に対するハザード比、0.63; p=0.007)

オシメルチニブの安全性プロファイルは、対照薬のEGFR阻害薬と類似し、重篤な有害事象の発現割合はオシメルチニブ群で低かった。これらの有効性および安全性データに基づき、オシメルチニブに対し、EGFR感受性変異を有する非小細胞肺がん患者に対する一次治療の使用にも適応拡大された。

New England Journal of Medicine誌最新号とESMO Asia2019期間中において、FLAURAチームは生存期間の計画された最終解析データを報告した。

試験の対象となったのは18歳以上(日本では20歳以上)、WHOパフォーマンスステイタスが0〜1の未治療患者だった。2週間以上ステロイドを必要としない安定した中枢神経系転移を有する患者は参加登録を許容された。

FLUARA試験研究者らは、556例の未治療EGFR遺伝子変異(exon19欠失変異またはL858R変異)陽性進行非小細胞肺がん患者を無作為に1日80 mgのオシメルチニブ、もしくは2つのEGFR阻害薬のいずれか、つまり、1日250 mgのゲフィチニブまたは1日150 mgのエルロチニブ(ゲフェチニブかエルロチニブの投与を受けた患者は1つの対照群としてまとめた)に1:1に割り付けた。対照薬のEGFR阻害薬群の患者に対しては、中央検査機関において病勢進行およびT790M陽性が確認された場合にオシメルチニブへのクロスオーバーが許容された。

生存期間は副次評価項目であった。生存期間中央値は、オシメルチニブ群で38.6カ月(95% 信頼区間 [CI]、 34.5 -41.8)、対照群で31.8カ月(95% CI、26.6 -36.0)であった(死亡に対するハザード比、0.80;95.05%CI、0.64‐1.00;p=0.046)。

3年経過時点で、オシメルチニブ群では279例中79例(28%)、対照群では277例中26例(9%)が治療を継続しており、曝露期間中央値はそれぞれ20.7カ月および11.5カ月であった。

グレード3以上の有害事象はオシメルチニブ群で42%、対照群で47%認められた。

著者らは、EGFR遺伝子変異陽性の局所進行または転移した非小細胞肺がん患者において、オシメルチニブによる一次治療が、対照薬のEGFR阻害薬と比較して有意な生存期間延長と関連し、また、類似した安全性プロファイルを持つ、と結論付けた。

オシメルチニブは、他のEGFR阻害薬と比較して、単剤療法として初めて有意な生存期間の有益性を示したEGFR阻害薬である。FLUARA試験の最終生存期間解析は、オシメルチニブがEGFR変異陽性の進行非小細胞肺がん患者に対する一次治療として標準治療であることを裏づける結果である。

ESMO アジアで発表されたもう1つの演題(LBA17)で、FLAURA試験の研究者らは、血中循環腫瘍DNAのモニタリングにより、EGFR変異を有する非小細胞肺がん患者でEGFR阻害薬による一次治療後にもがんが進行している患者を早期に特定し、EGFR依存性の耐性メカニズムを早期に検出することが可能になると報告した。

NEJM誌掲載論文内で著者らは以下のように述べている。一次治療後の耐性メカニズムを理解し、分子耐性メカニズムに基づいて適切な治療を決定することは、考慮すべき重要事項である。予備解析データは、一次治療のオシメルチニブの耐性メカニズムがオシメルチニブを2次治療として受けた患者のT790M変異で認められるメカニズムと類似していることを示唆している。さらに、このような耐性メカニズムは第1および第2世代のEGFR TKIに耐性を持つ患者において低頻度で認められる変異に関連するメカニズムにも類似している。さらなる研究が第2相試験のELIOS試験で行われている。一次治療としてオシメルチニブ投与をうけた患者の病勢進行後の耐性パターンに基づき、最も有効な治療を理解するための研究が、第2相試験であるORCHARD試験およびSAVANNAH試験で行われている。

情報開示 本FLAURA試験はAstraZeneca社より資金提供を受けた。

引用文献

  • Ramalingam SS, Vansteenkiste, Planchard D, et al. Overall Survival with Osimertinib in Untreated, EGFR-Mutated Advanced NSCLC. NEJM; Published online 21 November 2019. DOI: 10.1056/NEJMoa1913662.
  • LBA16 – Byoung Chul Cho BC, Ohe Y, Zhou C, et al. Osimertinib vs comparator EGFR-TKI as first-line treatment for EGFRm advanced NSCLC (FLAURA): Final overall survival analysis. ESMO Asia 2019 Congress, Singapore; 22-24 November.

翻訳後藤若菜

監修稲尾崇(呼吸器内科/天理よろづ相談所病院)

原文を見る

原文掲載日

【免責事項】

当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。
翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

関連記事