[ 記事 ]

イボシデニブがIDH1変異を有する胆管がんで無増悪生存期間を延長

イボシデニブがイソクエン酸デヒドロゲナーゼ1変異を有する希少胆管がん患者にとって新しい治療選択肢になる可能性

イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1(IDH1)変異を有する進行胆管がん患者は、プラセボとの比較で、ivosidenib[イボシデニブ]治療によって臨床的有益性を示し、無増悪生存期間(PFS)の改善がみられた。スペインのバルセロナで開催された2019年欧州臨床腫瘍学会(ESMO) 年次総会において、このような第3相ピボタル試験の結果が発表された。

この試験結果を発表した米国ニューヨーク州スローンケタリング記念がんセンターのGhassan K. Abou-Alfa氏は、IDH1変異を有する進行胆管がん患者を対象とした、イボシデニブとプラセボを比較する第3相ランダム化国際共同二重盲検ClarIDHy(NCT02989857)試験の理論的根拠を説明した。

Abou-Alfa教授によると、イボシデニブ(AG-120)は、変異IDH1タンパクを阻害する画期的医薬品の経口小分子阻害剤であり、変異IDH1タンパクは腫瘍発生を促進するがん代謝物であるD-2-ヒドロキシグルタル酸(2-HG) の産生に関与している。IDH1変異は、効果的な治療法がほとんどない希少がんである胆管がん患者のうち、最大約15%で認められる。

ClarIDHy試験には、IDH1変異を有する進行胆管がん患者185人が参加した。患者は2:1の割合で、1日1回500mgのイボシデニブ投与群と同量のプラセボ投与群にランダムに割り付けられ、それまでに受けた全身療法治療の数によって層別化された(1対2)。参加した患者の年齢の中央値は62歳、117人は女性で、91%が肝内胆管がんであった。患者は全員、中央検査によって、進行した切除不能胆管がんでIDH1変異を有していることが確認されており、ECOGパフォーマンスステータスは0〜1で、RECIST v1.1による測定可能病変を有していた。患者全体の92%が転移しており、43%が2回の前治療を受けていた。

主要エンドポイントは、中央判定による無増悪生存期間(PFS)であり、副次エンドポイントは安全性、客観的奏効率(ORR)、各施設の研究者が判定した無増悪生存期間(PFS)、および治療意図による(ITT)全生存期間(OS)などであった。放射線画像による判断で進行(PD)が認められた時点でプラセボからイボシデニブへのクロスオーバーが許可され、クロスオーバー調整後の全生存期間はrank preserved structural failure time(RPSFT)法を用いて導出された。

研究の主要エンドポイントである中央判定による無増悪生存率は達成された

イボシデニブは、プラセボと比較して、無増悪生存期間を改善した。無増悪生存期間の中央値は、イボシデニブ治療を受けた124人の患者で2.7カ月だったが、プラセボを投与された61人の患者は1.4カ月だった(ハザード比[HR] 0.37; 95%信頼区間[CI], 0.25, 0.54; p < 0.001)。6カ月経過時および12カ月経過時の無増悪生存率は、イボシデニブ群で、それぞれ、32.0%と21.9%だった。しかし、プラセボを投与された患者のうち、データのカットオフ時で6カ月以上無増悪を達成している患者はいなかった。

イボシデニブ群における客観的奏効率(ORR)は、部分奏効3人の2.4%だった。63人の患者(50.8%)は安定(SD)を達成した。プラセボ群においては、客観的奏効率は0%であり、27.9%(17人の患者)が安定(SD)を達成した。

ITT解析によると、全生存期間の中央値は、プラセボ群が9.7カ月であったのに対してイボシデニブ群では10.8カ月だったが(HR 0.69; one-sided p = 0.06)、プラセボ群から57%がクロスオーバーしていた。したがって、RPSFT法で調整された全生存期間の中央値は、プラセボ群で6カ月であった(HR 0.46; p = 0.0008)。各施設の研究者の判定による無増悪生存期間(HR 0.47; p <0.001)。

イボシデニブ投与患者の15%以上で発生した治療関連有害事象(AE)は、悪心(32.1%)、下痢(28.8%)、疲労(23.7%)、咳(19.2%)、腹痛(18.6%)、 腹水(18.6%)、食欲減退(17.3%)、貧血(16.0%)、嘔吐(16.0%)などであった。グレード3以上の有害事象は、プラセボ投与患者の36%で報告されたのに対し、イボシデニブ投与患者は46%で報告された。治療関連死は発生しなかった。

結論
研究者らによると、IDH1変異を有する進行胆管がん患者において、イボシデニブは、プラセボとの比較で無増悪生存期間(PFS)の有意な延長と、良好な全生存期間を得られる傾向をもたらした。これは、この患者集団でIDH1変異を標的にすることの臨床的有益性を示す最初のピボタル研究である。

開示
この研究は、Agios Pharmaceuticals、Inc.によって資金提供された。

参照
LBA10_PR – Abou-Alfa GK, Macarulla Mercade T, Javle M, et al. ClarIDHy: A global, phase 3, randomized, double-blind study of ivosidenib (IVO) vs placebo in patients with advanced cholangiocarcinoma (CC) with an isocitrate dehydrogenase 1 (IDH1) mutation.

翻訳関口百合

監修泉谷昌志(消化器がん、がん生物学/東京大学医学部附属病院消化器内科)

原文を見る

原文掲載日

【免責事項】

当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。
翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

関連記事