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トリネガ乳がんの術前化学療法にペムブロリズマブ

術前化学療法にペムブロリズマブを加えることにより早期トリプルネガティブ乳がんの転帰が改善

早期のトリプルネガティブ乳がん患者において、ペムブロリズマブ+化学療法による術前化学療法がプラセボ+化学療法より優れた抗腫瘍効果を示した。

第3相KEYNOTE-522試験の結果、早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者において、標準的な術前化学療法にペムブロリズマブを加えることにより病理学的完全奏効率(pCR率)が高まったことが、スペインのバルセロナで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2019年学術集会で発表された。

ロンドン大学クイーンメアリー校バーツがん研究所(英国ロンドン)のPeter Schmid教授は、早期トリプルネガティブ乳がん患者を対象とした第1b相KEYNOTE-173試験および第2相I-SPY 2試験において、術前ペムブロリズマブと化学療法の併用が有望な抗腫瘍効果および管理可能な安全性プロファイルを示したことに言及した。

Schmid教授らのチームは、初期ステージのトリプルネガティブ乳がん患者におけるこのレジメンの効果をさらに検証するために、KEYNOTE-522国際共同試験(NCT03036488)を実施し、ペムブロリズマブと化学療法を併用した術前化学療法の後にペムブロリズマブによる術後化学療法を行った。

この第3相プラセボ対照試験には、米国がん合同委員会(AJCC)の基準によるステージT1c N1-2またはT2-4 N0-2に該当するトリプルネガティブ乳がんと中央検査機関で確認された、転移のない未治療患者を登録した。これらの患者のうち、784人をペムブロリズマブ200 mgを3週間ごと(q3w)に投与する群に、390人をプラセボ群に無作為に割り付けた。各群には術前化学療法として、パクリタキセル+カルボプラチンを12週間投与し、それに続いてドキソルビシンまたはエピルビシン+シクロホスファミドを4サイクル投与した。根治手術の施行後、術後療法としてさらに9サイクルもしくは再発または忍容不能な毒性の発現まで、すべての患者にペムブロリズマブまたはプラセボを投与した。患者らを、リンパ節転移の状態(陽性または陰性)、腫瘍の大きさ(T1/T2またはT3/T4)、およびカルボプラチンの投与間隔(3週間ごとまたは毎週[qw])によって層別化した。

KEYNOTE-522試験の主要評価項目は、病理学的完全奏効(ypT0/Tis ypN0と定義)および無イベント生存(EFS)の2つであった。副次的評価項目は、病理学的完全奏効(ypT0 ypN0およびypT0/Tisと定義)、全生存(OS)、およびPD-L1陽性集団における有効性であった。

中央値15.5カ月(範囲:2.7~25.0カ月)の追跡期間の後、602人の患者の最終的な病理学的完全奏効率を解析し、評価した。これらの患者では、ペムブロリズマブ+化学療法群は、プラセボ+化学療法群に比較して、病理学的完全奏効(ypT0/Tis ypN0と定義)において統計的に有意な改善を示した。病理学的完全奏効率は、ペムブロリズマブ+化学療法レジメンでは64.8%(95%信頼区間[CI]:59.9~69.5)であり、これに比較してプラセボ+化学療法では51.2%(95%CI:44.1~58.3)であった(投与群間差:13.6%、95%CI:5.4~21.8、p=0.00055)。

副次的評価項目の病理学的完全奏効については、ペムブロリズマブ+化学療法群とプラセボ+化学療法群との比較で、ypT0 ypN0の病理学的完全奏効率は59.9%対45.3%、ypT0/Tisの病理学的完全奏効率は68.6%対53.7%であった。

PD-L1発現状態に関わらずペムブロリズマブ+化学療法の優れた抗腫瘍効果が認められた
PD-L1発現状態に基づくデータ解析では、PD-L1陽性群とPD-L1陰性群の両方において、ypT0/Tis ypN0と定義した病理学的完全奏効はペムブロリズマブを用いたレジメンのほうが高率であった。病理学的完全奏効率は、ペムブロリズマブ+化学療法群とプラセボ+化学療法群との比較で、PD-L1陽性患者では68.9%対54.9%、PD-L1陰性患者では45.3%対30.3%であった。

術前ペムブロリズマブ+化学療法の後に術後ペムブロリズマブを受けた患者は、術前プラセボ+化学療法の後に術後プラセボ治療を受けた患者に比較して、無イベント生存においても良好な傾向を示した(ハザード比[HR]:0.63、95%CI:0.43~0.93)。

有害事象率は投与群間で同等であり、既知の安全性プロファイルに一致した
治療関連のグレード3以上の有害事象(AE)率は、術前ペムブロリズマブ+化学療法の後に術後ペムブロリズマブを受けた群では78.0%であり、これに比較して術前プラセボ+化学療法の後に術後プラセボを受けた群では73.0%であった。各投与レジメンの死亡率は0.4%および0.3%であった。

結論
臨床試験責任医師らは、欧州臨床腫瘍学会2019年学術集会で発表されたデータに基づき、ペムブロリズマブ+化学療法による術前化学療法は、プラセボ+化学療法による術前化学療法と比較して、早期トリプルネガティブ乳がん患者の病理学的完全奏効率を有意に高めたと結論付けることができた。また、術前ペムブロリズマブ+化学療法の後に術後ペムブロリズマブを投与するレジメンでは、無イベント生存においても良好な傾向がみられた。

情報開示 本試験は、米国メルク社の子会社であるメルクシャープアンドドーム社(米国ニュージャージー州ケニルワース)から資金提供を受けた。

参考文献:LBA8_PR – Schmid P, Cortés J, Dent R, et al. KEYNOTE-522: Phase 3 study of pembrolizumab (pembro) + chemotherapy (chemo) vs placebo (pbo) + chemo as neoadjuvant treatment, followed by pembro vs pbo as adjuvant treatment for early triple-negative breast cancer (TNBC).

翻訳角坂功

監修田原梨絵(乳腺科・乳腺腫瘍内科)

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