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進行肺がんにオシメルチニブが従来のチロシンキナーゼ阻害薬を上回る生存改善

上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異を有する進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、オシメルチニブによる初回治療が、対照薬であるチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)による標準治療よりも、全生存(OS)を改善した。

さらに、FLAURA試験の治験責任医師らは、血中を循環する腫瘍由来DNA(ctDNA)が、病勢進行を経験する可能性が高い進行非小細胞肺がん患者を同定することに有用であることも示した。第3相FLAURA試験に関する結果が、スペインのバルセロナで開催された2019年欧州腫瘍臨床学会(ESMO)年次総会の2つの発表で報告された。

オシメルチニブは、第3世代の不可逆的な経口EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)であり、EGFR変異とEGFRのT790M耐性変異の両方を阻害する。

最終結果により、オシメルチニブがゲフィチニブまたはエルロチニブよりも全生存(OS)を延長することが明らかに

アメリカ合衆国のアトランタにあるエモリー大学血液・腫瘍内科部部門のSuresh S. Ramalingam氏は、第3相FLAURA試験(NCT02296125)の全生存(OS)の最終結果を報告した。尚、この解析はOSデータ成熟度が58%の時点で実施された。これまでに報告されたFLAURA試験の結果では、オシメルチニブが従来のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)よりも無増悪生存(PFS)を有意に改善し(ハザード比:0.46、p<0.001)、試験の主要評価項目を達成していた。ただし、その時点のOSデータ成熟度は25%であった。

FLAURA試験では、進行非小細胞肺がんで、かつWHOパフォーマンスステイタスが0〜1の18歳以上(日本では20歳以上)のEGFR変異(Ex19delまたはL858R)を有する未治療患者を登録対象とした。2週間以上ステロイドを必要としない安定した中枢神経系転移を有する患者は許容された。1:1のランダム割り付けの結果、279患者が1日1回80 mgの経口オシメルチニブを投与され、277患者が1日250 mgのゲフィチニブまたは1日150 mgのエルロチニブを経口投与された。変異の種類(Ex19del/L858R)および人種(アジア/非アジア)に基づいて、患者を層別化した。対照薬のEGFR-TKI群の患者に対しては、病勢進行時にT790M陽性が確認されればオシメルチニブへのクロスオーバーを許容した。

主要評価項目は、治験責任医師がRECIST v1.1に基づいて評価したPFSで、OSは副次的評価項目であった。データカットオフは2019年6月25日であった。

病勢進行後のオシメルチニブへのクロスオーバーは、対照群の70患者(25%)で報告された。

シメルチニブ群のOSは対照薬であるEGFR-TKI投与群より良好

対照群の患者の4分の1がクロスオーバーしたにもかかわらず、OSはオシメルチニブ群では対照群よりも延長された。OS中央値はそれぞれ、38.6カ月(95.05%信頼区間[CI]34.5-41.8)対31.8カ月(95.05%CI 26.6-36.0)であった(ハザード比0.799、95.05%CI 0.641-0.997、p=0.0462)。

12カ月、24カ月、および36カ月時点での全生存率は、オシメルチニブ群と対対照群でそれぞれ、89%対83%、74%対59%、および54%対44%であった。

全患者のOSの追跡期間中央値は、オシメルチニブ群で35.8カ月であったのに対し、対照群では27.0カ月で、打ち切り患者の追跡期間中央値は両群で43.1カ月であった。

追跡期間中に、オシメルチニブ群で155人(56%)が死亡したのに対し、対照群では166人(60%)が死亡した。

治験責任医師報告の有害事象(原因不問)が、両コホートの患者の98%で発生した。これらのうちグレード3以上の有害事象は、オシメルチニブでは42%、対照薬のEGFR-TKIでは47%であった。治療中止に至る有害事象は、オシメルチニブ群の15%で発生したのに対し、対照薬のEGFR-TKIの18%で発生した。

FLAURA試験のctDNAデータは病勢進行を反映

FLAURA試験のデータを使用して、米国タンパのH. Lee Moffittがんセンター研究所の胸部腫瘍部門のJhanelle E. Gray氏らは、ctDNAを病勢進行の有効な指標として確立した。治験責任医師らは、FLAURA試験中に、1、8、15日目、その後3~18週は21日ごと、さらにその後は6週間ごとに収集した血漿サンプルを使用した。使用可能なすべての時点でのEGFR変異(Ex19del、L858R、およびT790M)、およびその後の6週間ごとのすべての時点でのC797Sについて、ctDNAドロップレットデジタルPCR(ddPCR、Biodesix社製)を用いて、病勢進行患者や治療中止患者からのサンプルを評価した。測定された耐性変異はC797SおよびT790Mのみであった。ctDNAによる「進行」は、ctDNAの測定下限値およびそれがddPCRの検出および定量限界に近づいた値をもとに定義された。

このctDNAによる病勢進行の解析では、2017年6月12日の最初のデータカットオフ時点でddPCRによる有効な長期モニタリングデータを有し、RECISTに基づく病勢進行が認められる122患者(22%)を対象とした。どちらの治療群においてもctDNAの解析結果は同様であった。PFS中央値が9.5カ月で、病勢進行を経験した80患者(66%)では、病勢進行より前または病勢進行と同時にctDNAが増加し、ctDNA増加から病勢進行までの中央値は2.7カ月であった。

ctDNA進行が認められる57患者(47%)で、C797SまたはT790Mの獲得が検出された。これらのうちC797Sはオシメルチニブ群の4患者(8%)で検出され、T790Mは対照群の53患者(74%)で検出された。検出までの時間の中央値は、オシメルチニブと対照薬でそれぞれ16.7カ月と8.4カ月で、観察されたPFS中央値を反映していた。

ctDNA進行と病勢進行の両方が認められる106患者のうち、41患者(38%)で、病勢進行と同時に、またはそれよりも早くT790MおよびC797Sの獲得が検出された。これらのうち2患者(5%)がオシメルチニブ群で、39患者(58%)が対照群であった。(血中での獲得耐性遺伝子検出から病勢進行までの期間、つまり)リードタイム中央値は1.4カ月であった。

議論のポイント

米国ボストンのダナファーバーがん研究所のLowe Center for Thoracic OncologyのPasi A. Jänne氏は、FLAURA試験の結果を検討し、OS中央値がほぼ7カ月改善されていた点、36カ月時点で試験治療を受けていた患者が28%対9%であった点で、結果は臨床的に有意義であったと述べた。結果はサブグループ全体で一貫していたが、オシメルチニブの有効性の程度はサブグループによって異なっていた。本試験の結果は実診療に変革をもたらすはあるが、オシメルチニブはすでに世界87か国でEGFR T790Mに対する承認を受けており、さらに世界78か国で初回治療として承認されている。しかし、費用や償還の欠如が初回治療での使用に対する障壁となっている。

結論

OSの結果については、EGFR変異を有する進行非小細胞肺がん患者ではオシメルチニブによる初回治療が対照薬であるEGFR-TKIよりも統計的に有意でかつ臨床的に有意義なOSの改善をもたらしたと結論付けられた。さらに、安全性プロファイルについては、これまでに報告されたデータと合致しているように見受けられた。

ctDNAモニタリングにより、EGFR変異を有するNSCLC患者でEGFR-TKIによる初回治療後にがんが進行している患者を早期に特定し、病勢進行前にEGFR依存性の耐性メカニズムを早期に検出することが可能になると、この研究をctDNAを実施している治験責任医師は結論付けた。彼らは、EGFR経路以外の耐性の早期の検出方法も研究する予定であると述べた。

情報開示

本FLAURA試験はAstraZeneca社より資金提供を受けた。

参考文献

LBA5_PR – Ramalingam SS, Gray JE, Ohe Y, et al. Osimertinib vs comparator EGFR-TKI as first-line treatment for EGFRm advanced NSCLC (FLAURA): Final overall survival analysis.

LBA85 – Gray JE, Peled N, Markovets A, et al. Longitudinal circulating tumour DNA (ctDNA) monitoring for early detection of disease progression and resistance in advanced NSCLC in FLAURA.

翻訳会津麻美

監修田中文啓(呼吸器外科/産業医科大学)

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