[ 記事 ]

局所進行膵臓がんに寛解導入化学療法ナブパクリタキセル+ゲムシタビン併用

寛解導入化学療法後、より多くの患者で腫瘍切除が可能になる 

ナブパクリタキセルとゲムシタビン併用療法、または逐次フォルフィリノックス(FOLFIRINOX)療法による寛解導入化学療法後に開腹検査を行うと、局所進行膵臓がん(LAPC)の腫瘍切除へのコンバージョン率が上昇し、さらにコンバージョンは生存期間(OS)改善にも関連するとの結果がNEOLAP研究の最終結果としてスペインのバルセロナで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2019年次総会で発表された。

ドイツ膵臓がんグループ(AIO-PAK)代表のヴュルツブルク大学病院第二内科腫瘍内科 部門・ドイツマインフランケン総合がんセンターのVolker Kunzmann氏は、局所進行膵臓がんに対する2種類の寛解導入化学療法の有効性と安全性を比較した初めての前向きランダム化比較試験(NEOLAP試験; NCT02125136, EudraCT number: 2013-004796-12)の最終結果を報告した。寛解導入化学療法は、ナブパクリタキセル+ゲムシタビン併用または逐次FOLFIRINOX療法(フルオロウラシル+ロイコボリン、イリノテカン+オキサリプラチン)が投与された 。

膵臓がん患者の約30%は局所進行腫瘍であり、この段階では多剤併用の寛解導入化学療法 が推奨されるが、最適なレジメンは明らかになっていない。局所進行膵臓がんに対する化学療法および/または放射線療法後の切除可能腫瘍へのコンバージョンについては、大規模な前向き多施設共同試験において報告がされてきた。通常これは画像診断による切除可能性評価基準に基づいているが、その頻度はさまざまである 。

Kunzmann教授らは、ドイツの33医療機関で登録された組織学的または細胞学的に確定診断を受けた切除不能で治療歴のない局所進行膵臓がん患者168人を対象に、非盲検、ランダム化、2群の第2相臨床試験を実施した。NEOLAP試験は、2種類の異なる寛解導入化学療法レジメン(ナブパクリタキセル+ゲムシタビン 併用: FOLFIRINOX療法)を比較する最初の前向き、ランダム化比較試験である。

患者はnab-paclitaxel/gemcitabineの2サイクルの寛解導入を行い、これらの治療後に、病状の進行や許容できない有害事象の発現のなかった130人の患者が以下のいずれかの治療に1:1にランダムに割り付けられた:さらに2サイクルのナブパクリタキセル+ゲムシタビン療法(64人)または4サイクルの逐次FOLFIRINOX療法(66人)。

寛解導入化学療法完了後、病状安定または治療への反応が認められた患者全員の2次的切除の可否を開腹検査によって評価した。主要エンドポイントは完全な肉眼的腫瘍切除(R0 / R1切除)であり、副次的エンドポイントは安全性、全奏効率 、疾患制御率(DCR)、CA 19-9の変化、病理学的変化、無再発生存期間、無増悪生存期間 だった。

ナブパクリタキセル+ゲムシタビン併用療法及び逐次FOLFIRINOX療法後の疾患制御率は、それぞれ82.3%及び75.0%であった(p=0.38)。

各治療群で開腹検査が可能になった患者は同等 であり、ナブパクリタキセル+ゲムシタビン併用群で62.5%、逐次FOLFIRINOX療法群で63.6%であった。

主要エンドポイントであるコンバージョン率はナブパクリタキセル+ゲムシタビン 群で30.6%、逐次FOLFIRINOX群で45.0%であり、オッズ比(OR)は0.54(95%信頼区間: 0.26 -1.13[p = 0.135])であった。

有効性副次エンドポイントについては、2群で差は認められなかった。中央値13.8カ月の追跡期間で生存期間の中央値はナブパクリタキセル+ゲムシタビン療法群で17.2カ月、逐次FOLFIRINOX療法群では22.5カ月であり、調整したハザード比(HR)は0.73(95%信頼区間: 0.42 -1.28 [p = 0.268])であった。

コンバージョンを達成した患者で生存期間 が延長した

治療意図した(ITT)集団165人で、コンバージョンは生存期間の有意な改善と関連しており、生存期間はコンバージョンできた患者で27.4カ月、コンバージョンできなかった患者で14.2カ月であった(p = 0.0035)。

グレード3以上の有害事象の発現は、2つの群で同程度であり、ナブパクリタキセル+ゲムシタビン群で54.7%、逐次 FOLFIRINOX群で53.0%であった。

討論点
試験結果について議論したデンマーク、オーデンセのオーデンセ大学病院腫瘍内科のPfeiffer氏によると、3群のランダム化試験に賛成するものではないが、FOLFIRINOX群が設定されていれば重要な情報が得られた可能性があると発言した 。画像評価のさらなるデータが報告される見込みであり、異なる結果が出ない限りは、コンバージョン治療後の開腹検査は推奨される。

局所進行膵臓がん患者と切除可能境界 の患者については、正確な病期の情報を報告すべきである。これら患者の臨床試験への参加が推奨される。

結論
著者らによると、逐次FOLFIRINOX療法は、ナブパクリタキセル+ゲムシタビン併用の4カ月の寛解導入化学療法に比較して、主要エンドポイントであるコンバージョン率及び副次的エンドポイントである有効性ともに有意に優れた結果ではなかった。どちらの寛解導入化学療法も忍容性に問題なく、これまで知られている安全性のプロファイルと一致した。

しかしながら、開腹検査後の2次的腫瘍切除は生存可能性と有意に関連したことから、局所進行膵臓がんでは大いに推奨できる。

切除可能性の状況および奏功率に関する現在実施中の画像中央判定の結果、および橋渡し研究であるバイオマーカー分析の結果は、今後の会議で発表される。

情報開示 Celgeneから資金提供を受けた旨が開示されている。

参考情報:671O – Kunzmann V, Algül H, Goekkurt E, et al. Conversion rate in locally advanced pancreatic cancer (LAPC) after nab-Paclitaxel/Gemcitabine- or FOLFIRINOX-based induction chemotherapy (NEOLAP) – Final Results of a multicenter randomised Phase 2 AIO trial.

 

翻訳滝坂美咲

監修泉谷昌志(消化器がん、がん生物学/東京大学医学部付属病院消化器内科)

原文を見る

原文掲載日

【免責事項】

当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。
翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

関連記事