FDAが転移小細胞肺がんにペムブロリズマブを承認

2019年6月17日、米国食品医薬品局(FDA)は、1つ以上の治療を受け、かつプラチナベースの化学療法中または治療後に進行した転移小細胞肺がん(SCLC)患者の治療薬としてペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ、Merck社)を迅速承認した。

2つ以上の治療中または治療後に病勢が進行した小細胞肺がん患者で、多施設マルチコホート非ランダム化・非盲検臨床試験2件(KEYNOTE-158 (NCT02628067) Cohort G、KEYNOTE-028 (NCT02054806) Cohort C1)のいずれかに登録された患者83人について有効性を検証した。患者は、3週間ごとのペムブロリズマブ200㎎静注投与(n=64)、または2週間ごとの同剤10㎎/㎏静注投与(n=19)のいずれかを受けた。治療は病勢進行が記録されるまで、許容できない毒性がみとめられるまで、もしくは最大24カ月続けた。

主要評価項目は、盲検独立中央評価による全奏効率および奏効期間(改訂版RECIST v1.1)であった。全奏効率は19%(95% CI: 11, 29)で、完全奏効率は2%であった。奏効を示した16人の患者のうち、奏効が6カ月以上持続したのは94%、12カ月以上持続が63%、18カ月以上持続が56%であった。

小細胞肺がんに対するペムブロリズマブ単剤投与を受けた、前治療歴のある患者における副作用は、ペムブロリズマブ投与を受けた他の固形腫瘍患者でみられたものと同様であった。患者20%以上で報告された頻度の高い副作用には、疲労、食欲減退、咳、悪心、便秘などがあった。ペムブロリズマブは、副作用のために患者の9%で投与が中止され、25%で1回以上投与が控えられた。重篤な副作用は患者の31%で生じた。最もよくみられた(≥2%)重篤な有害反応は肺炎と胸水であった。

小細胞肺がんに対するペムブロリズマブの推奨用量は、3週間に1回、30分間かけて行う200mg静注投与である。投与期間は疾患進行または許容できない毒性の確認まで、または疾患が進行していない患者では最長24カ月間とする。

キイトルーダに関する全薬剤情報はこちら

ペムブロリズマブは、2017年10月3日に小細胞肺がんに対するオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)に指定されている。FDAは本申請を優先審査に指定した。FDA迅速承認プログラムの説明は、「企業向けガイダンス:重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品」に記載されている。

翻訳担当者 有田香名美

監修 川上正敬(肺癌・分子生物学/米国国立がん研究所)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

肺がんに関連する記事

欧州肺がん会議2024の画像

欧州肺がん会議2024

ESMO肺がん会議2024は、呼吸器外科医、胸部外科医、呼吸器内科医、呼吸器専門医、腫瘍内科医および放射線腫瘍医、画像下治療を行う放射線科医、病理医など、胸部腫瘍学分野の様々な専門家が...
免疫療法抵抗性肺がんにデュルバルマブ+セララセルチブ療法が有望の画像

免疫療法抵抗性肺がんにデュルバルマブ+セララセルチブ療法が有望

MDアンダーソンがんセンターデュルバルマブ+セララセルチブが肺がん患者の免疫反応を高め、予後を改善することが第2相試験で明らかにテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者...
ROS1陽性肺がんでレポトレクチニブが新たな治療選択肢にの画像

ROS1陽性肺がんでレポトレクチニブが新たな治療選択肢に

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ2023年11月、食品医薬品局(FDA)は、ROS1遺伝子融合と呼ばれる遺伝子変化を有する一部の進行肺がんの治療薬としてrepotrecti...
非小細胞肺がん、アロステリックEGFR阻害による薬剤耐性克服の可能性の画像

非小細胞肺がん、アロステリックEGFR阻害による薬剤耐性克服の可能性

ダナファーバーがん研究所アロステリック阻害薬EAI-432は、EGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する新たな治療法を提供するEAI-432は、ATPポケット以外の部位に結...