FDAが肝細胞がんにペムブロリズマブを迅速承認

2018年11月9日、米国食品医薬品局(FDA)はソラフェニブによって既治療の肝細胞がん(HCC)患者にペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ、Merck & Co. Inc.社)を迅速承認した。

本承認は、肝細胞がん患者104人を対象とした単群多施設共同試験、KEYNOTE 224試験(NCT02702414)に基づくものである。この試験はソラフェニブ投与中または投与後に疾患進行を認めた患者、あるいはソラフェニブに忍容性のない患者で、測定可能病変を有し、Child-Pugh分類Aの肝障害度の患者を対象とした。患者の21%は血清HBV陽性、25%は血清HCV陽性であり、患者9人(9%)は血清HBVとHCVの両方が陽性であった。活動性の自己免疫疾患、肝炎の複数の病因、免疫抑制を必要とする症状または理学的検査により腹水の臨床的証拠が認められる患者は除外された。患者には、疾患の進行または忍容できない毒性を認めるまで、あるいは疾患進行のない患者においては最長24カ月まで、ペムブロリズマブ200mgを3週間毎に点滴静注した。

有効性の主要評価項目は確定された全奏効率であり、RECIST1.1(最大10カ所の標的病変および1臓器につき最大5カ所の標的病変を測定するように改変)に従い、独立中央判定(ICR)によって評価した。ICRで評価した全奏効率は17%(95%信頼区間[CI]:11~26)であり、完全奏効1人、部分奏効17人であった。奏効期間は3.1〜16.7カ月、奏効が認められた患者の89%では奏効期間は6カ月以上、56%では12カ月以上であった。

肝細胞がん患者に発現した有害反応はペムブロリズマブの添付文書に記載されているものと同様であったが、グレード3または4の腹水(8%)、および免疫介在性肝炎(2.9%)の発生率は上昇した。他のペムブロリズマブの試験よりも高率で発現したグレード3および4の検査値異常はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(20%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(9%)の上昇、および高ビリルビン血症(10%)であった。

肝細胞がんに対するペムブロリズマブの推奨用量は、200mgを30分以上かけて3週間毎に点滴静注する。

KEYTRUDAの全処方情報はこちらを参照。

FDAは本申請を優先審査に指定した。これは迅速承認の規定によるものである。迅速承認の条件としてさらなる試験が必要とされている。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、企業向けガイダンス、重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 小縣正幸

監修 中村能章(消化管悪性腫瘍/国立がん研究センター東病院 消化管内科)

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