FDAがフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病にボスチニブを迅速承認

2017年12月19日、米国食品医薬品局(FDA)は、未治療の慢性期(CP)フィラデルフィア染色体陽性(Ph+)慢性骨髄性白血病(CML)患者の治療にボスチニブ(商品名:ボシュリフ)(Pfizer Inc.社)を迅速承認した。

承認は、非盲検ランダム化比較多施設共同試験(BFORE試験、NCT02130557)のデータに基づく。この試験は未治療の慢性期Ph+CML患者487人を対象に行われた。患者をボスチニブ群(400mg、1日1回)またはイマチニブ群(400mg、1日1回)のいずれかに無作為に割り付けた。有効性の主要評価項目は12カ月時点での分子遺伝学的大寛解(MMR)であった(分子遺伝学的大寛解を中央測定機関における検査により国際指標でのBCR ABL比が0.1%以下[標準化ベースライン値から対数値3 log以上の減少に相当]かつABL転写産物が3000以上と定義した)。ボスチニブ群で47.2%(95%CI:40.9, 53.4)、イマチニブ群で36.9%(95%CI:30.8, 43.0)の患者が12カ月時点で分子遺伝学的大寛解を達成した(p=0.0200)。

未治療のCML患者で最も多く認められた有害反応(発現頻度:20%以上)は、下痢、悪心、血小板減少症、発疹、ALT増加、腹痛、AST増加などである。

FDAは2012年に初めて、前治療に抵抗性または不耐容の慢性期、移行期、および急性転化期のPh+ CMLの治療薬としてボスチニブを承認した。

未治療の慢性期Ph+ CMLに対するボスチニブの推奨用量は1日1回400mgであり、食後に内服する。

全処方情報はこちら:https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2017/203341s009lbl.pdf.

今回の申請においてFDAはボスチニブを優先審査品目およびオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)に指定した。迅速承認の条件としてBFORE試験に参加した患者の追跡調査を引き続き行うことが義務づけられている。FDAの迅速承認プログラムの説明は、以下の企業向けガイダンス:「重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品および生物学的製剤(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)」に記載されている:

http://www.fda.gov/downloads/drugs/guidancecomplianceregulatoryinformation/guidances/ucm358301.pdf.

医療従事者は、医薬品および医療機器の使用との関連が疑われる重篤な有害事象を認めた場合、すべてFDAのMedWatch報告システムに報告しなければならない。この報告は、オンラインフォームへの入力(http://www.fda.gov/medwatch/report.htm)、オンラインで提供されている料金支払い済み宛名フォームのファックス(1-800-FDA-0178)か郵送、または電話(1-800-FDA-1088)にて行う。

翻訳担当者 竹原順子

監修 吉原 哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)、

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

白血病に関連する記事

意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果の画像

意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果

ダナファーバーがん研究所意図せぬ体重減少は、その後1年以内にがんと診断されるリスクの増加と関連するという研究結果が、ダナファーバーがん研究所により発表された。

「運動習慣の改善や食事制限...
【米国血液学会(ASH)】進行した急性骨髄性白血病に新規メニン阻害薬が有望の画像

【米国血液学会(ASH)】進行した急性骨髄性白血病に新規メニン阻害薬が有望

MDアンダーソンがんセンター特定の遺伝子変異を有する白血病に有望な効果が、MDアンダーソン主導の2つの臨床試験で示されるテキサス大学MDアンダーソンがんセンター主導の2つの臨床...
再発した白血病、リンパ腫にネムタブルチニブが有望の画像

再発した白血病、リンパ腫にネムタブルチニブが有望

オハイオ州立大学総合がんセンターオハイオ州立大学総合がんセンター・アーサーG.ジェイムズがん病院リチャードJ.ソロベ研究所(OSUCCC – James)の研究者らが研究している新しい...
初発AMLへの高用量シタラビン併用療法は安全かつ奏効を改善の画像

初発AMLへの高用量シタラビン併用療法は安全かつ奏効を改善

MDアンダーソンがんセンター初めて急性骨髄性白血病(AML)と診断された若くて体力のある患者には、通常、シタラビンとアントラサイクリンの化学療法が投与されるが、最近、シタラビンの高用量...