ニボルマブ、再発頭頸部がんにおいて治療増悪後の継続投与でも効果

CheckMate141試験の最新データにより、治療増悪後のニボルマブ継続投与による腫瘍縮小効果が明らかに

再発/転移性の頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者において、プラチナベース化学療法後6カ月以内に再発をきたし、ニボルマブ(オプジーボ)治療後に増悪した後、ニボルマブを継続投与することにより抗腫瘍活性が認められた。この結果はマドリッド(スペイン)で開催された欧州腫瘍学会年次総会(ESMO)2017で発表された。

ダナファーバーがん研究所/ハーバードがんセンター(米国ボストン)の腫瘍部門に所属するRobert Haddad氏と共同研究者は、CheckMate 141(NCT02105636)試験では、まず患者のがん進行程度をRECIST v1.1ガイドラインに基づいて放射線画像を判定し、その後のニボルマブに対する治療反応を測定した。

CheckMate 141試験では、ニボルマブ投与群のうち、プロトコルに定められたように増悪または腫瘍未評価の患者を除外し、バイオマーカー分析によって臨床的転帰を新たに検討した。治療1日目および43日目の両方で利用可能なサンプルを有する患者について、フローサイトメトリーによる免疫細胞表現型解析を行い、臨床的反応が認められた。

ニボルマブが標準単剤療法と比べ全生存期間を延長

Checkmate 141試験は、プラチナベースの化学療法後6カ月内に腫瘍が進行した再発/転移HNSCC患者361人を対象に、ニボルマブと試験責任医師が選択した単剤全身療法を比較したランダム化第3相試験である。ニボルマブを2週間毎に3mg/kgの用量で投与した結果、全生存期間(OS)は、標準単剤療法群と比べ、ニボルマブ群では有意に延長した(ハザード比[HR] 0.70(97.73%信頼区間[CL] 0.51, 0.96)。

ESMO 2017では、2016年9月にロックしたデータベースに基づいた解析結果が発表された。最短追跡期間は11.4カ月であった。CheckMate 141試験でニボルマブ投与群にランダムに割り付けられた患者240人中、146人(61%)に増悪を認めた。このうち62人(42%)が治療増悪後に1回以上ニボルマブの投与を受けた(TBP群)。残りの84人(58%)については増悪後に投与を行わなかった(NTBP群)。

再発/転移頭頸部扁平上皮がんでニボルマブ投与後の増悪例で抗腫瘍効果が示される

この結果ではニボルマブ継続(TBP)群において全生存期間中央値は12.7カ月であった(95%CI: 9.7,14.6)。

図1:治療増悪後にニボルマブの投与を継続した患者の全生存率

図2:全生存率

初期増悪後、ニボルマブ継続群の15人(24%)に標的病変の縮小がみられ、3人に30%以上の縮小がみられた。奏効が得られた15人のうち、8人がヒトパピローマウイルス(HPV)陽性、5人が腫瘍のPD-L11%以上、5人が最初の増悪で標的病変に20%以上の増大がみられた。

図3:治療増悪後にニボルマブの投与を継続した患者の腫瘍縮小率

ニボルマブの安全性プロファイルはこれまでの報告と同様であった。グレード3/4の治療関連有害事象の発現率は、ニボルマブ継続群と非継続群において同様であった。

治療1日目のPD-1陽性CD8陽性T細胞 の割合は、治療奏効患者とニボルマブ継続患者で低かった。ニボルマブ継続群において治療1日目のPD-1陽性制御性T細胞 の発現率が低く、これは治療奏効患者の発現率と同様であった。

結論

増悪後のニボルマブ継続治療により腫瘍が縮小した患者は、通常の治療奏効患者と同様の循環型細胞免疫プロファイルを有していた。CheckMate 141試験責任医師らは、増悪後のニボルマブによる治療継続が腫瘍径の縮小に関連しており、また、忍容性が良好であることから、一部の再発/転移頭頸部扁平上皮がん患者の治療として考慮され得ると結論づけた。

情報開示

本研究はBristol-Myers Squibb社の助成により実施された。

翻訳担当者 ステップアップ!チーム

監修 小宮 武文(腫瘍内科/トゥーレーン大学)

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