英NICEが白血病( CLL) に対するイブルチニブのガイダンスを発行

1種類以上の治療歴がある、あるいは17p欠失またはTP53変異を有し、かつ化学免疫療法不適格の成人にはイブルチニブが推奨される。

2017年1月25日、英国国立医療技術評価機構(NICE)は医療技術評価ガイダンスを発行し、1レジメン以上の治療歴がある、あるいは17p欠失またはTP53変異を有し、かつ化学免疫療法不適格の成人慢性リンパ性白血病(CLL)治療に対してイブルチニブ単剤を添付文書に記載された適応の範囲内で用いる選択肢を推奨した。ただし、イブルチニブの製薬企業が’患者アクセス保障(patient access scheme)’における 値引供給に同意した場合に限る。

評価委員会は、いずれの集団においても最も重要な比較対照となるのは idelalisib[イデラリシブ]とリツキシマブの併用療法であり、イデラリシブ/リツキシマブの併用が適用されない患者には支持療法(best supportive care) が比較対照であると結論づけた。評価委員会は、この推奨はイブルチニブと支持療法を比較したエビデンスを伴っていないことを考慮している。

評価委員会は、イデラリシブ/リツキシマブ併用療法と比較して、イブルチニブ単剤療法は毒性が低く、無増悪生存期間と全生存期間の延長に効果があるとみられると結論したが、その効果の程度は不確かであることに留意している。

支持療法と比較したイブルチニブの効果にはエビデンスが提示されていない。ただし、評価委員会はイデラリシブ/リツキシマブ併用療法と比較した場合よりも支持療法と比較した場合のイブルチニブの効果が高いとみられると結論した。

評価委員会は、イブルチニブが CLLにおいて重要で効果が高い治療法であることに合意している。この技術評価の対象となったいずれの集団においても、イブルチニブは患者アクセス保障における割引額で、イデラリシブは既存の患者アクセス保障で算出した場合の増分費用対効果(ICER)は、延命効果の基準を満たす治療のための国民保険サービス(NHS)の予算使用において費用対効果が高いとみなされる範囲内である。

翻訳担当者 石岡優子

監修 吉原 哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)

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