重症再生不良性貧血患者ではドナーのテロメア長が造血細胞移植後の生存率に関連

米国国立がん研究所(NCI)ニュースノート

原文掲載日 :2015年2月10日

NCIの新しい研究により、非血縁ドナーから造血幹細胞移植を受けた重症再生不良性貧血患者では、ドナーの白血球テロメア長が長い患者のほうがドナーの白血球テロメア長が短い患者よりも、移植後の5年生存率が高いことがわかった。一方、移植前の患者自身の白血球テロメア長は、生存率に相関がなかった。重症再生不良性貧血は骨髄で十分に血球を産生することができない疾患であり、年齢層を問わず発症するが、若年成人で最もよくみられる。ドナーの末梢血または骨髄中の幹細胞は、他の血球を産生する細胞であり、造血幹細胞細胞移植では患者に静脈内投与される。テロメアは染色体の完全性を維持する役割があり、染色体末端で複雑な構造をとっている。テロメアは加齢とともに自然に短くなる。テロメア長は、他の健康状態と同様に、いくつかの癌の発症と関連している。これは、ドナー細胞のテロメア長と重症再生不良性貧血患者の造血幹細胞移植の予後との関係を評価した初めての研究である。本研究は2015年2月10日にJAMA誌に発表された。

造血細胞移植を受けた重症再生不良性貧血患者の生存率はこの10年間で向上したが、非血縁ドナーから移植を受けた患者は適合同胞ドナーから移植を受けた患者よりも、一般的に予後が悪い。しかし、同胞ドナーが必ずしも確保できるわけではない。本研究では、NCIのがん疫学・遺伝学部門(Division of Cancer Epidemiology and Genetics)のShahinaz Gadalla医学博士をはじめとする研究者が、330人の移植患者とその適合非血縁ドナーの造血細胞移植前の白血球テロメア長と造血細胞移植後の生存率との関連性を評価した。ドナーの白血球テロメア長が長い患者のほうが、ドナーの白血球テロメア長が短い患者よりも生存率が高いことがわかった。ドナーの年齢および重症再生不良性貧血に伴う移植の予後に重要な他の因子を調整しても、ドナー細胞のテロメア長と患者の生存率には統計的に有意な関連性があった。本研究結果により、ドナーの白血球テロメア長が移植後の長期生存率に関与しているかもしれないということが示唆された。

原文

翻訳担当者 上田梨佳

監修 佐々木裕哉(血液内科、血液病理/久留米大学病院)

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