PV-10注射はメラノーマ病変の治療に有望

キャンサーコンサルタンツ

難治性皮膚・皮下転移性メラノーマ患者80人への注射による、ローズベンガル(PV-10)病巣内投与を評価する国際臨床試験の結果がこのほど報告された。

PV-10はローズベンガル10%溶液で、元来は角膜の壊死組織を染色する薬剤として使用されていた。光力学癌治療に利用すべくさまざまな製剤を探求していたProvectus Biopharmaceuticals, Inc. 社がPV-10をメラノーマに使用する可能性を見いだし、現在評価を行っている。同社は、固形腫瘍に直接投与できるように開発した製剤PV-10が光活性化なしでも腫瘍を破壊することを発見した。

本試験では、難治性メラノーマステージ3の患者62人およびステージ4の患者18人に対して、16週間で最高4回、最高20カ所の皮膚・皮下病変にPV-10を病巣内投与し、52週間追跡調査した。

治療に対する全奏効率は51%で、完全奏効率は26%であった。奏効までの期間中央値は1.9カ月、奏効期間中央値は4.0カ月であり、8%の患者は52週間後に病気の徴候が認められなかった。治療全体として、治療に伴う重大な副作用はなく、忍容性は良好であった。

本試験著者は、病巣内PV-10投与は持続性のある局所制御によって高い完全奏効率をもたらすと結論づけた。毒性は主に注射部位に限定されるため、局所性疾患管理のための今回の病巣内アプローチは、メラノーマの現行治療と臨床試験中治療を補完しうると考えられる。

参考文献:Thompson JF, Agarwala S, Smithers M, et al. Phase 2 Study of Intralesional PV-10 in Refractory Metastatic Melanoma. Annals of Surgical Oncology, October 2014.


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翻訳担当者 太田奈津美

監修 高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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