非扁平非小細胞肺癌患者においてドセタキセル+シスプラチンとペメトレキセド+シスプラチンは同様の転帰を達成

非扁平非小細胞肺癌患者を対象としてペメトレキセド+シスプラチンとドセタキセル+シスプラチンを直接比較した最初の試験において、有害事象の発現率はドセタキセル+シスプラチンの方が高かったが、無増悪生存期間は両レジメンで同程度であった。

 トピック:肺癌およびその他の胸部腫瘍/抗癌剤および生物学的製剤

マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2014)で、Chonnam National University Medical School(韓国)のYoung-Chul Kim医師は、韓国の医療機関14施設で実施した、非扁平非小細胞肺癌(NSCLC)患者149人を対象とした非盲検第3相試験の結果を報告した。

「特定の阻害薬で標的可能な遺伝子変異を保有しない非扁平NSCLC患者に対して、ペメトレキセドと白金製剤を併用する化学療法は最も汎用されているレジメンです。一方、ドセタキセルと白金製剤を併用する化学療法も肺癌の一次治療として有効です。しかし、これまでに、ペメトレキセド+シスプラチンとドセタキセル+シスプラチンを直接比較した試験は実施されていませんでした。このような状況を受けて、われわれは本試験を実施しました」とKim医師は説明した。

本試験において、化学療法未治療の非扁平NSCLC患者を無作為に割り付けて、ドセタキセル60 mg/m2+シスプラチン70 mg/m2またはペメトレキセド500 mg/m2+シスプラチン70 mg/m2を3週毎に最大4サイクル施行した。無増悪生存期間の中央値は、ペメトレキセド+シスプラチン群4.7カ月、ドセタキセル+シスプラチン群4.6カ月であった。

しかし、重篤な有害事象の発現率はドセタキセル+シスプラチン群の方が高く、重篤な有害事象の発現件数はペメトレキセド+シスプラチン群24件、ドセタキセル+シスプラチン群42件であった。

韓国でペメトレキセド維持治療が承認され、広く使用されるようになったため、本試験への登録は早期に中止した、とKim医師は述べた。「本試験への登録を早期に中止したため、両群間の非劣性を証明することはできませんでした。無増悪生存期間と奏効率に有意な群間差は認められませんでしたが、ペメトレキセド+シスプラチンの毒性はドセタキセル+シスプラチンより低いものでした」。

全生存期間の群間差の有無を明らかにするために、本試験に登録された患者を追跡調査中である。
本試験へのコメント:スイス・ローザンヌ大学病院のSolange Peters医師は、「NSCLC患者において、各種の利用可能な白金製剤を主体としたレジメンは、ほぼ同じ有効性を示します」と述べた。

「2008年にScagliotti氏が発表した大規模試験により、非扁平NSCLC患者におけるペメトレキセド+白金製剤の優越性が示されています。本試験でも良好な忍容性が確認され、最新の国際NSCLC治療ガイドラインが裏づけられました」、とPeters医師は付け加えた。

翻訳担当者 永瀬 祐子

監修 小宮武文(腫瘍内科/カンザス大学医療センター)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

肺がんに関連する記事

免疫療法抵抗性肺がんにデュルバルマブ+セララセルチブ療法が有望の画像

免疫療法抵抗性肺がんにデュルバルマブ+セララセルチブ療法が有望

MDアンダーソンがんセンターデュルバルマブ+セララセルチブが肺がん患者の免疫反応を高め、予後を改善することが第2相試験で明らかにテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者...
ROS1陽性肺がんでレポトレクチニブが新たな治療選択肢にの画像

ROS1陽性肺がんでレポトレクチニブが新たな治療選択肢に

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ2023年11月、食品医薬品局(FDA)は、ROS1遺伝子融合と呼ばれる遺伝子変化を有する一部の進行肺がんの治療薬としてrepotrecti...
非小細胞肺がん、アロステリックEGFR阻害による薬剤耐性克服の可能性の画像

非小細胞肺がん、アロステリックEGFR阻害による薬剤耐性克服の可能性

ダナファーバーがん研究所アロステリック阻害薬EAI-432は、EGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する新たな治療法を提供するEAI-432は、ATPポケット以外の部位に結...
一部の小細胞肺がんにタルラタマブが有効の画像

一部の小細胞肺がんにタルラタマブが有効

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ新しいタイプの標的免疫療法薬が、肺がんの中で最も悪性度の高い小細胞肺がん(SCLC)患者の約3人に1人で腫瘍を縮小させたことが臨床試験の結果...