ロミデプシンのFDA承認

原文 2009/11/09掲載 2013/07/03更新

商標名:Istodax®

・以前に1種類以上の全身療法を受けた患者における皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)の治療薬として承認(2009/11/05)

臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用および禁忌などの全処方情報がFull prescribing information(英文)が参照できます。

2009年11月5日、米国食品医薬品局(FDA)は、以前に1種類以上の全身療法を受けた患者における皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)に対して、注射用ロミデプシン(Istodax®、Gloucester Pharmaceuticals Inc.製造)を承認しました。

ロミデプシンの有効性と安全性については、2件の多施設共同単群非盲検試験において、評価が行われました。有効性の評価は、米国、欧州、オーストラリアのCTCL患者167人を対象に実施されました。試験1では、以前に1種類以上の全身療法を受けた患者96人が対象となりました。試験2では、以前に中央値2種類の全身療法を受けた患者71人が対象となりました。両試験において、患者は病勢の進行まで治療を受けることが可能でした。全奏効の評価は、皮膚病変、リンパ節および内臓病変、セザリー細胞についての各評価の複合エンドポイントに基づき実施されました。

両試験の主要有効性エンドポイントは全奏効率(ORR)とされました。ORRは試験担当医師の評価に基づき、完全寛解(CR)または部分寛解(PR)が確認された患者の割合として定義されました。両試験においてORRは同様であり(試験1:34%、試験2:35%)、CR率は同じ(6%)でした。奏効期間中央値は、試験1では15カ月、試験2では11カ月でした。

安全性データに関しては、CTCL患者185人において評価が可能でした。試験1で最も多く認められた副作用は、悪心、疲労、感染、嘔吐、食欲不振でした。試験2で最も多く認められた副作用は、悪心、疲労、貧血、血小板減少、心電図T波変化、好中球減少、リンパ球減少でした。試験1において2%以上の患者に認められた重篤な副作用は、感染、敗血症、発熱でした。試験2において2%以上の患者に認められた重篤な副作用は、 感染、上室性不整脈、好中球減少、疲労、浮腫、中心静脈カテーテル感染、心室性不整脈、悪心、発熱、白血球減少、血小板減少でした。

ロミデプシンの推奨投与量およびスケジュールは、28日サイクルの1、8、15日目に、4時間で14 mg/m2を静脈内投与します。

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安田詠美 訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修 
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この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。
FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。

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