2007年人に癌サバイバーが1170万人に達したというCDC報告が発表された

NCIニュース

米国疾病対策センター(CDC)、および米国国立衛生研究所所属の米国国立癌研究所(NCI)が発表した報告書によれば、米国の癌サバイバーが2007年に1170万人に達したという。1971年には300万人、2001年には980万人であった。

癌と診断されたことのある人を癌サバイバーと定義し、診断時からその後の人生を通じてそう呼ばれる。

「2007年米国癌サバイバー」と題されたこの研究は、CDCのMorbidity and Mortality Weekly Report誌で今日発表された。

「癌にかかっても生き延び、長期間、生産的で健康な人生を送っている人がこれほど多くいらっしゃるのは喜ばしいニュースです」とCDC長官のThomas R. Frieden医師(公衆衛生学修士)は述べた。「癌の予防と早期発見がやはり決定的に重要です。一部の癌は予防できるか、あるいは早期発見でより効果的な治療ができるからです。禁煙、規則的な運動、健康的な食事、控えめな飲酒により、多くの癌のリスクが減らせます」。

サバイバー数の決定に、1971年〜2007年のNCIのSurveillance, Epidemiology and End Resultsプログラムから得た新症例数と追跡調査データを解析した。米国国勢調査局による2006年と2007年の人口データも含めた。癌と診断されたことのある人で2007年1月1日時点で生存していた人(致死率がごく低い、かなり一般的な癌である非黒色腫皮膚癌は除く)の人数を推定した。

研究結果によれば:

・2007年時点で生存していた癌サバイバー1170万人のうち、700万人が65歳以上であった。
・女性が癌サバイバーの多数を占める(54%)。
・乳癌のサバイバーが最も多く(22%)、次いで前立腺癌(19%)、 結腸直腸癌(10%)である。
・全サバイバーのうち、470万人は診断されてから10年以上経過している。

「癌サバイバーが増え続けるにつれ、医療や公衆衛生の専門家は、サバイバーが抱える問題、特に治療がサバイバーの身体的、精神的健康に及ぼす長期的影響について知っておくことが重要になります」とCDC癌予防・コントロール部門(Division of Cancer Prevention and Control)の疾病情報担当官(epidemic intelligence service officer)であるArica White医学博士(公衆衛生学修士)が述べている。「この知識は、癌サバイバーの健康増進と総合的ケアの調整にきわめて重要です」。

筆者らは、癌サバイバーの増加は、人口の高齢化、早期発見、診断法の改善、より有効な治療、治療後の臨床経過観察の向上など、様々な要因によるとしている。

「癌の診断に直面し、それが本人とその大切な人々に及ぼす影響に診断後の人生の間ずっと向き合っている人が増えています」と癌生存者オフィス局長のJulia H. Rowland博士は述べた。「多くの癌サバイバーとその身近な人々にとって残念なことに、癌の影響は最後の治療が終了した時点で終わるわけではないのです。サバイバー特有のリスク、問題、懸念について、調査によって知り得たことは氷山の一角に過ぎません。この報告書で強調しているのは、すべての癌サバイバーに最適なケアと支援を行えるようなよりよい医療を開発し、実践すること、そして調査を継続する必要性です」。

報告書の全文はhttp://www.cdc.gov/mmwr/に掲載されている。

CDCは公共団体、非営利団体、民間団体と提携しながら、癌に罹患し、癌を治療し、癌を乗り越えて生きる米国内の何百万もの人々を支援する戦略を創設し、実施している。CDCのサバイバーシップ活動について詳しくはhttp://www.cdc.gov/cancer/survivorship/を参照されたい。

NCI癌サバイバーシップ局は、サバイバーの寿命を延ばし、生活の質を改善することに加え、まだ十分理解されていないサバイバー特有のニーズに取り組んでいる。癌サバイバーシップ局、調査方法、発行物、その他の資料についての詳細はhttp://cancercontrol.cancer.gov/ocs/に掲載されている。

NCIは全米癌プログラム(National Cancer Program)やNHIの活動を主導し、予防や癌生物学の研究、新治療法の開発、新規研究員への研修や指導を通じて、癌による負担の大幅な低減と、癌患者やその家族の生活の改善に取り組んでいる。癌についてさらに詳しくはNCIのウエブサイトwww.cancer.govを参照していただくか、NCIのCancer Information Service、1-800-4-CANCER (1-800-422-6237)に連絡していただきたい。

翻訳担当者 丸野 有利子

監修 林正樹(血液・腫瘍内科)

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