FDAが稀な甲状腺癌の治療にCometriq(cabozantinib)を承認/FDAニュース

FOR IMMEDIATE RELEASE:2012年11月29日
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FDAが稀な甲状腺癌の治療にCometriq (cabozantinib)を承認

米国食品医薬品局(FDA)は本日、体内の他の部位に拡がった(転移した)甲状腺髄様癌の治療にCometriq(cabozantinib [カボザンチニブ])を承認した。

甲状腺髄様癌は、血液中のカルシウムを正常な濃度に維持する役割を担うカルシトニンと呼ばれるホルモンを生成する甲状腺細胞に発生する。このタイプの癌は、自然発生的に、あるいは甲状腺を含む1種類以上の内分泌系の癌を引き起こす特定の遺伝子変異を持つ家系に生じることがある。

米国国立癌研究所は、2012年には米国人56,460人が甲状腺癌と診断され、1,780人が同疾患で死亡すると推定している。甲状腺癌の約4%が甲状腺癌の中で稀なタイプの一つとされている甲状腺髄様癌である。

「Cometriqは、過去2年間で甲状腺髄様癌治療薬として承認された2番目の薬剤であり、FDAが稀な疾患に対する治療薬の開発と承認にどれだけ熱心に取り組んでいるかが反映されているのです」と、FDAの医薬品評価研究センターの血液腫瘍製品室長であるRichard Pazdur医師は述べた。「今日の承認と2011年4月のCaprelsaの承認以前は、このように稀で治療困難な疾患を持つ患者にとって、治療法の選択肢は限られていました」。

FDAは、優先審査プログラムのもとで6カ月間でCometriq適用の審査を完了した。本プログラムは、治療上重要な効果をもたらすと思われる薬剤、あるいは適切な治療法がない場合に治療薬となる薬剤を6カ月で迅速に審査するものである。Cometriqは、稀な疾患や症状を治療することを目的としていることから、FDAよりオーファンドラッグの指定も受けている。

Cometriqは、甲状腺髄様癌の細胞の発生や増殖に関連する異常なキナーゼ蛋白を遮断するキナーゼ阻害薬である。患者は本剤を投与する最低2時間前または投与後1時間は食事をしてはならない。

Cometriqの安全性と有効性は、330人の甲状腺髄様癌患者を対象とした臨床試験によって確立された。Cometriq治療によって癌の進行なく患者が生存した期間(無増悪生存期間)が延長され、腫瘍の縮小が確認された(奏効率)患者もみられた。

Cometriqを投与された患者において腫瘍が増殖することなく生存した期間の平均は11.2カ月であったのに対して、砂糖の錠剤(プラセボ)を投与された患者の平均生存期間は4カ月であった。Cometriq投与患者の27%で腫瘍に縮小がみられ、それが持続した期間の平均はほぼ15カ月であったのに対し、プラセボ群では縮小が見られなかったという結果も示された。Cometriq治療は患者の全生存期間を延長しなかった。

Cometriqの添付文書では、数名の患者に見られた大腸における重篤または致死的な出血と穴があくこと(穿孔と瘻孔)について、患者および医療従事者に注意を促す黒枠警告欄が設けられている。

最もよく見られる副作用は下痢、口内炎あるいは口内の痛み、指の発赤、疼痛や浮腫(手足症候群)、体重減少、食欲減退、吐き気、疲労、口腔痛、毛髪の脱色、味覚障害、高血圧の発症あるいは悪化、腹痛、便秘が挙げられる。最も多い検査所見は、肝酵素の増加、低カルシウム血症と低リン血症、白血球および血小板の減少などであった。

Cometriqは、カリフォルニア州サンフランシスコに拠点をおくExelixis社が販売している。Caprelsa(バンデタニブ)は、デラウェア州ウィルミントンに拠点をおくアストラゼネカ社が販売している。

詳しい情報については以下を参照のこと:

FDA: Office of Hematology and Oncology Products (血液腫瘍製品室)〔原文〕

FDA: Approved Drugs: Questions and Answers (承認薬:質問と回答)〔原文〕

FDA: Drug Innovation (薬剤における革新)〔原文〕

NCI: Thyroid Cancer (甲状腺癌)〔原文〕

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滝川俊和 訳
東 光久(血液癌・腫瘍内科領域担当/天理よろづ相談所病院) 監修 
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原文

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