標的薬Caprelsaは甲状腺癌の進行を遅延させる

キャンサーコンサルタンツ

Lancet Oncology誌で発表された試験結果によれば、標的薬Caprelsa®(バンデタニブ)は進行性分化型甲状腺癌の進行を遅延させる。

甲状腺は、身体の大部分の代謝過程に関連したホルモンを産生する咽喉部にある腺臓器である。すべての甲状腺癌のほぼ95%は分化型甲状腺癌と分類される。差異は癌細胞の型と特徴によって決まる。進行性分化型甲状腺癌は、これまで化学療法による治療に反応しなかった。しかし、チロシンキナーゼがこの疾患の発症に関与しており、チロシンキナーゼ阻害薬がこの型の甲状腺癌の治療に効果的であろうと考えられていた。

Caprelsaは、チロシンキナーゼ阻害薬として知られている標的治療薬である。本剤には、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)および上皮増試験殖因子受容体(EGFR)経路を封鎖すると同時に、一部の甲状腺癌の発現に関与するRET-チロシンキナーゼの活性化を阻害する複数の作用機序がある。Caprelsaは甲状腺髄様癌の治療に承認されているが、さらに、研究者らは進行性分化型甲状腺癌でのその役割を調べ続けている。

研究者らは、放射性ヨウ素治療抵抗性の進行性分化型甲状腺癌でCaprelsaの役割を評価するために、ランダム化二重盲検第2相試験を実施した。本試験では、欧州にある16の医療センターで、局所進行性または転移性の甲状腺癌(乳頭癌、濾胞癌、または低分化癌)の成人患者145人が対象とされた。Caprelsaまたはプラセボを投与するために患者を無作為に割り付けた。

その結果、Caprelsaを投与した患者の方がプラセボを投与した患者(5.9カ月)よりも無増悪生存期間(11.1カ月)が長かった。しかしながら、本剤には重篤な毒性が関与していた。グレード3以上の有害事象のうち最も多かったものは、QTc延長、下痢、無力症および疲労感であった。治療関連死は、Caprelsa群で2人(皮膚転移の出血と肺炎)は、プラセボ群で1人(肺炎)であった。

本研究者らは、Caprelsaは局所進行性または転移性の甲状腺癌患者で有効性を明白に示す第1の標的薬であると結論づけた。この設定で本剤の最適使用を決定するために、研究は今後も続行される予定である。

参考文献:
Leboulleux S, Bastholt L, Krause T, et al. Vandetanib in locally advanced or metastatic differentiated thyroid cancer: a randomised, double-blind, phase 2 trial. The Lancet Oncology.The Lancet Oncology. Published early online August 14, 2012. doi:10.1016/S1470-2045(12)70335-2


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翻訳担当者 有田香名美

監修 須藤智久(薬学/国立がん研究センター東病院 臨床開発センター)

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