ビタミンDの不足が大腸癌のリスクを増大するさらなるエビデンス

キャンサーコンサルタンツ
2007年7月

ハーバード大学の研究者たちは、血中の25-ヒドロキシビタミンDの濃度が少ないと、結腸直腸癌のリスクが増えると報告した。この研究の詳細はJournal of the National Cancer Instituteの2007年7月10日号に掲載された。

前臨床および臨床試験により、ビタミンDの血清濃度が高い場合はいくつかの癌の発生率低下と関連することが示唆された。ビタミンDは日光を浴びても、経口摂取でも増加するため、これは研究するには難しいテーマである。マルチビタミン剤からビタミンDを摂取する際には1日に200から400IUが常用量である。ビタミンDの血清濃度が高い場合および1日1000IUのビタミンDを摂取した場合は、結腸直腸癌の発生のリスクが50%減少することと関連がある。しかし、ランダム化試験においてカルシウムおよびビタミンDを通常投与した場合、結腸直腸癌の発生が減少する証拠は見られなかった。

現在の研究は結腸直腸癌の患者170名と、Health Professionals Follow-up Study(HPFS)の対照グループ356名での25-ヒドロキシビタミンD濃度に対して評価を行った。結果、25-ヒドロキシビタミンD値が低い場合に結腸癌の発生率が上昇することには関連性があったが、結腸癌と直腸癌をあわせたものとの関連性は見出されなかった。これらのデータはNurses’ Health Studyのコホート研究データとあわせて保存された。その保存データ上では、血中25-ヒドロキシビタミンD値が高い場合に結腸癌および直腸癌両方の発生リスクが減少することと関連性があった。

コメント

これらのデータはビタミンDと直腸結腸癌との関係においてさらなる証拠を提供している。1日1000から2000IUのビタミンDが予防措置として標準化されるべきである。

参考文献

Wu K, Fesamich D, Fuchs CS, et al. A nested case-control study of plasma 25-hydroxyvitamin D concentrations and risk of colorectal cancer. Journal of the National Cancer Institute. 2007; 99:1120-1129.

  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 中島 美香

監修 平 栄(放射線腫瘍医)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

大腸がんに関連する記事

TP53変異陽性がんにトリフルリジン・チピラシルとタラゾパリブの併用は有望の画像

TP53変異陽性がんにトリフルリジン・チピラシルとタラゾパリブの併用は有望

研究者らは、TP53遺伝子に変異があるがん細胞を選択的に殺す薬剤組み合わせを特定した。その遺伝子変異は、大半の大腸がんや膵臓がんなど、あらゆるがん種の半数以上にみられる。

NCIが一部資...
大腸がんの増殖にFusobacterium nucleatum亜型が最大50%関連の画像

大腸がんの増殖にFusobacterium nucleatum亜型が最大50%関連

フレッドハッチンソンがん研究センターNature誌に発表された研究によると、Fusobacterium nucleatumの亜型がヒトの大腸がん増殖の根底にあり、スクリーニングや治療に...
大腸がんに術後化学療法が必要かをctDNA検査で予測できる可能性の画像

大腸がんに術後化学療法が必要かをctDNA検査で予測できる可能性

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ転移が始まった大腸がんに対する手術の後、多くの人はそのまま化学療法を受ける。この術後(アジュバント)治療の背景にある考え方は、がんが体内の他...
認識されていない大腸がんの危険因子:アルコール、高脂肪加工食品、運動不足の画像

認識されていない大腸がんの危険因子:アルコール、高脂肪加工食品、運動不足

オハイオ州立大学総合がんセンター仕事中にあまり身体を動かさず肥満率が上昇している現代アメリカでは、何を飲食し、どのくらい身体を動かすかによって大腸がん(30〜50代の罹患者が増...