ゼロータ単独よりゼロータとIxabepilon(イクサベピロン)の併用が化学療法抵抗性転移性乳癌に有効

キャンサーコンサルタンツ
2007年8月

ゼロータ(カペシタビン)にイクサベピロン(Bristol-Myers-Squibb社)を併用することで転移性乳癌患者の予後を改善すると多施設臨床試験に参加した研究者が報告した。このランダム化臨床試験の詳細は2007年6月に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次集会で報告された[1]。

イクサベピロンは微小管に結合し微小管安定化と有糸分裂停止に至るepothilone B analogである。現在、転移性乳癌患者でのイクサベピロンの単独使用を検討した4つの論文がある。多施設臨床試験でタキサン抵抗性転移性乳癌患者49例に対してイクサベピロンが検討された[2]。部分奏効率は12%で、病勢安定は41%であった。毒性として治療に関連した神経障害を認めている。2つめの臨床試験は、アントラサイクリン、タキサンとゼローダに抵抗性の126例によるものであった[3]。全奏効率は18%で、病勢安定は50%であった。3つめの臨床試験はアントラサイクリンによる補助療法がすでになされている転移性乳癌患者65例で評価されたものであった[4]。この群の患者で転移性乳癌に対する初回治療としてイクサベピロンが投与された。全奏効率は42%、奏効期間の中央値は8.2ヵ月であった。それに加え病勢安定が35%の症例で認められた。生存期間の中央値は22ヵ月であった。4つめの臨床試験はタキサンによる治療が以前なされていない転移性乳癌患者23例によるものであった[5]。この臨床試験では57%に部分奏効を認め、病勢安定は26%であった。

今回の臨床試験ではアントラサイクリンとタキサンに抵抗性の転移性乳癌患者752例がゼローダ単独とゼローダ・イクサベピロン併用とに無作為に割り付けられた。全症例での年齢の中央値は53才、84%が内臓の病変を有し、40%が2回の化学療法を受けていた。

イクサベピロン+ゼロータ

ゼロータのみ

患者数

375

377

全奏効率

35%

14%

無増悪生存率

5.8ヶ月

4.2ヶ月

12週無増悪生存率

71%

55%

著者らは強力な治療がなされた転移性乳癌患者においてはゼローダ単独よりはゼローダにイクサベピロンを併用するほうが効果的であると結論づけている。

コメント:

イクサベピロンが乳癌の治療に用いることができる重要な新しい薬剤であることがこれらの臨床試験から示されている。

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翻訳担当者 長尾 朋美 

監修 平 栄(放射線腫瘍科)

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